そして最も強烈なインパクトを残したのは、なんといっても三上博史(62)。
地上波の連続ドラマは約6年ぶり!『東京サラダボウル』(NHK総合、原作:黒丸氏による同名漫画)に出演しました。ミドリ髪の警察官・鴻田麻里(奈緒)×中国語通訳人・有木野了(松田龍平)が、在日外国人居住者に向き合う社会派エンターテインメントである本作。三上は、現在と4年前の過去を繋ぐ、“真相”を握る刑事・阿川博也を演じました。
阿川は、中国語を駆使する優秀なベテラン刑事でありながら、外国人聴取で意図的な誤訳を行ったことで干されていたという設定で、物語のはじめからその存在は匂わされていました。まず第6話のラストにお目見えしたときの存在感よ!「三上博史きたー!」とテレビの前で歓喜したのは、きっと筆者だけではないはず。
第7話から鴻田の相棒となった阿川。悪人なのか善人なのか、ベテランの風格は間違いないが飄々(ひょうひょう)としていてどこか掴めない。そんな独特の空気を醸し出す三上から、まったく目が離せなくなりました。
事件にどんな関わり方をしていたのかが最終回まで分からなかったのは、三上の表現が秀逸だったからこそ。そして最終回の三上には、とことん魅せられました。犯した過ちに葛藤し、苦悩していたこと。そこから逃げようとした心の弱さまでをもさらけ出しました。もともと存在感のある役者さんですが、年齢を重ねたからこそできる役柄で、もっと私たちを楽しませてほしいと改めて思いました。
========
ドラマ作品には欠かせないベテラン俳優の存在。それをより強く感じさせられた冬クールでした。
<文/鈴木まこと>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】