──思春期にアダルトコンテンツに触れて、「親もこんなことをしているのか」と不信感を抱いた経験がある方はたしかにいると思います。
フクチ「性を語る時に、どうしても身近にあふれているAVやアダルトコミックがイメージされてしまいますが、そういったものは対等ではない『支配の性』、性暴力を描いたものが大多数なんですよね。
本書の帯にも書かせてもらいましたが、
性教育って自分と周りの人を大切にすることを学ぶことなんです。自分と他者を大事にするために、体の仕組みや、人との距離、「何が性暴力であるか」も学ぶんです。だから、アダルトコンテンツで傷ついた過去がある方には、そこで描かれている『性』と、私たちが性教育で伝えようとしている『性』は違うものなんだよって伝えたいです」
子どもに手渡すのが心配であれば、先に一度読んでみて
──生理の授業を男女別にするなど、性は隠すべきものとして育ってきた世代でもあるので、嫌悪感が拭えないままいる方も多いのではないでしょうか。
フクチ「アダルトコンテンツや、誰かからの言動で傷ついたり怖くなったり、性を不潔なものだと思った経験がある方は、
それを子どもに繰り返させたくないという親心から、性教育を受けさせたくないという気持ちに繋がっているのではないかと感じています。
でも、そんな方にこそ、この本のメッセージを信じて安心してほしいなと思います。この本で描いた『性教育』は、自分と他者を大切にするためのものです。そして本に書かれている性教育の内容は、取材した和光小学校で17年間実践されてきたものでもあります。
親自身も一度読んでみてほしいです。そしてそれが、その方の傷を癒すきっかけになればとも思います」