
そんなある日、珍しく義母が自宅を訪ねてきました。その日、旦那さんは友人と飲みに行っていたため、家にいたのは綾乃さんだけ。義母は大きな紙袋を手渡してきて、「息子から聞いたよ。妊活がうまくいかないらしいね。妊娠できないのは男の体よりも女の体に原因があるから、これを食べなさい」と言いました。
義母から手渡された紙袋の中には果物や豆類、ナッツ類など、妊活中に良いと言われているものが入っており、「絶対に着床させよう!」という手書きのメモや子宝祈願のお守りもたくさん……。
「義母の歪んだ価値観や行動力にもびっくりしましたが、メモや大量のお守りを見た瞬間、背筋が寒くなりました」
しかし、綾乃さんは関係性が悪くなると面倒だと思ったため、ひとまず紙袋を受け取りました。
「ただ、『自分たちで気をつけますので、お母さんは心配しないでくださいね』と柔らかな拒絶は伝えました」

ところが、義母のお節介はその後、どんどんエスカレート。なんと、旦那さんから妊活の予定日を聞き出し、予定日の後に綾乃さん宅へやってくるようになったのです。
「そういう時、夫は決まって友達と出かけています。多分、義母たちは打ち合わせしてるんです」
家を訪ねてきた義母は「今回はどうだったの?」と結果を聞き、「やり方が悪いんじゃない?」とも言ってくるそう。そのたびに、綾乃さんはとてつもなく恥ずかしい気持ちになってしまいます。
「義母は『私が息子を妊娠した時はインスタント食品は食べなかったから、綾乃さんもそうしなさいよ』と押し付けてもきます」
義母から言われた言葉の中で一番、綾乃さんが驚愕したのは、「息子を妊娠した時、私は○○な体位だったよ」という気味の悪いアドバイス。「実践してみなさいよ」と笑顔で言う義母に恐ろしさすら感じました。
綾乃さんは義母とのやりとりが苦痛で居留守を使ったこともあります。しかし、義母は綾乃さんが応答しないと、窓から家の中を覗いたり、大声で「綾乃さ~ん!いるんでしょ? 妊活のことで話があるの!」と叫んだりするため、周囲の目が気になり、結局、家に招いてしまうそう。
「お義母さんの行動を夫に伝えても、『心配だし、孫がすごく欲しいんだよ』としか言いません。だから、せめて妊活の状況は伝えないでと言いましたが、『わかった』と言うだけ。結局、共有されています」
子どもを産みたい気持ちに気づかなかったら、これまで通り、平和な暮らしが送れたのに……。そう溢す綾乃さんはもう一度、自分のこれからを見つめ直さなければならないのかもしれません。
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<文/古川輸香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291