
20代のころ
20代の頃、とある小劇場の作品に参加したとき、本読みの時点ではまだ台本ができあがっていなかったことがありました。脚本の方に「今できている分量を覚えるならどれくらいかかりますか」と聞かれ、トップバッターだった私は、念のため多めに「数時間ください」と答えました。
すると、部屋の空気が固まってしまい……。私の隣の方が「あの、私は数日かかります」と恐る恐る言い出され、「そうか、日数で良かったのか……」とぼんやり思いました。鼻につく~(2回目)。
そんなセリフに関する記憶力だけは馬力があった私ですが、前述したように勉強ではするする! というわけにはいかなかった。最近はさすがに、記憶力も落ちましたし。ただ、いまだに「映像記憶」だな、とは感じます。

タリーズとハリポタコラボの時の。4年前
映像記憶とは、見たものをそのまま覚える記憶法です。わかりやすく言うとスクリーンショット。例えば『ハリポタ』シリーズを見て、お芝居や声のトーンを頭の中で再生しながらものまねすることができます。
子どもの頃はみんなこの記憶方法だそうです。ただ、成人してもこの記憶の人はあまりいないのだとか。
ただ、よく天才が話すような「見たものすべてを一瞬で完全に記憶できる能力」とかではないんです。しかして適切な日本語がわからないため、便宜上、映像記憶と称しております。
自分が映像記憶の持ち主らしいと気づいたのは、友人がセリフを覚えるときに、音声を録音していると聞いたときでした。
台本を丸ごと覚えて、映像(写真)を頭の中に映し出して話せば済む話じゃないの? どうして音声で覚えているのかしらん。素直な疑問をぶつけたところ、大変面倒見の良い女優であるAちゃんは丹念にご自分の覚え方を教えてくれました。結果、自分の記憶の仕方が人と違うことに初めて気づけたという。
友達が少なかった弊害がここにも出ていて大変もの悲しい。あのときはぶしつけな疑問に応えてくれてありがとうAちゃん。
実は姉(宇野あゆみ/代表作・ハリー・ポッターシリーズのラベンダー・ブラウン吹替など)も同じ映像記憶者なので、あわれ、宇野姉妹、おかしいということに気づかぬまま幾年月。書いていて気づきましたが、母親がのんきすぎた影響も絶対ありますねコレ。
この記憶力でTBSのバラエティーに出たこともありますが、ガチの天才たちと戦わされたので、だいぶつらかったです。健闘はしたんですよ!あれは、偉かった。