そんな人たちの吹きだまりである八分坂。でもこの場所のモデルである渋谷・道玄坂は袋小路ではなく、道玄坂と文化村通りに抜けることができる。ちょっと迷う箇所もあるけれど、そこに生活する人たちは行き止まりでは決してない。
『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』は略すると『もしこぶ がくどこ』だそうだ。占いばば(菊地凛子)が第7話の冒頭でそう語っていた。でも長いのでやっぱりここでは『もしがく』にしておく。

『もしがく』7話場面写真©フジテレビ
第6話までが第1部で、第7話から第2部に突入した『もしがく』。第6話ではうる爺が退場し、代わりに名シェイクスピア俳優・是尾礼三郎がイン。さらにリカの元彼・トロ(生田斗真)も参入し、第7話では、はるおも八分坂を去る。大渋滞の整理はつかず、八分坂は混沌としている。おそらく、この地はジャンクションのようなところであって、人々が立ち寄っては去っていく。定着しない場所なのだろう。
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『もしがく』ドラマレビュー
<文/木俣冬>
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『
みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:
@kamitonami