どっちもヤバい!クズ男の生田斗真と、ハッタリかます菅田将暉。ふたりの決闘に“芝居の本質”を見た|ドラマ『もしがく』8話
本物かと思って強気でいたら、それが偽物だとわかったとき、どうするか。
菅田将暉の開き直りとハッタリ力がすごかった。
本物の拳銃を相手に突きつけるときの絶対的な強気、と武者震い。でも実は、銃はおもちゃだった。相手は本物の切れ味鋭そうなナイフを持っている。いまさらあとには引けない菅田将暉はこの優位から一点不利な状況に追い込まれたときの感情の流れを見事に視覚化していた。目を血走らせ、銃口を突きつけ凄み続ける。
なんの話か。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系 水曜よる10時~)第8話である。
【特集】⇒『もしがく』ドラマレビュー
菅田将暉演じる主人公・クベが率いる劇団が、ストリップ小屋の再起をかけてはじめたシェイクスピア劇。『夏の夜の夢』と『冬物語』を上演しているが客足が伸びない。オーナー(シルビア・グラブ)には毎週120万円売上を上納しないとならないが、目標金額に達することは難しく、あれこれ工面する自転車操業状態だ。
そんなとき、看板女優のリカ(二階堂ふみ)が、馴染みの客・トロ(生田斗真)に120万円で新宿歌舞伎町のいかがわしい店に売られそうになる。クベは阻止するべく、警官・大瀬(戸塚純貴)の拳銃を持ってトロと対峙する。ここでの菅田将暉の演技に震えた視聴者が多かった。
一方、菅田の芝居を受ける生田斗真も負けていない。
生田演じるトロは最初に銃を突きつけられたとき、逆に強気に出て、相手をひるませ、撃たせない方向に持っていこうとする。そうして反撃のチャンスを狙うが、あまりにもクベが本気なので、これは下手したら撃たれるぞ?と次第にあせりはじめる。頭のなかの冷静な計算と胸のうちの感情がせめぎ合ったすえ、恐怖という感情が勝ってしまう様を鮮やかに視覚化した。
俳優としては偽物だとわかっていながら、役として本物のように感じる芝居が、菅田将暉も生田斗真もどっちも見事すぎるほど見事。生田のように反応が的確で鮮やかでなければ、菅田の渾身の火事場の馬鹿力、狂気に近いような迫力も生きない。生田斗真の助演によって菅田将暉が輝いたといえるだろう。
また、菅田が助演にまわり、生田が輝く瞬間もあった。トロがナイフでクベの鼻を切り裂こうとして、クベが縮み上がる。生田斗真の本当にナイフで切り裂きそうな残忍な空気、恐怖で固まってしまう菅田将暉の反応。ナイフは当然偽物の小道具だろうけれど、本当に切れそうでハラハラした。
『もしがく』第8話は菅田将暉と生田斗真が2回戦行って、どちらも接戦で引き分けだった。
視聴者も震えた、菅田の鬼気迫る演技
生田vs菅田の芝居対決は、引き分け?
この連載の前回記事





