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頻繁に泥酔→記憶をなくし奇行も…同僚に“アル中”と言われても病院に行けなかった理由を当事者女性が明かす<漫画>

病院に行くことの大切さ

――漫画の中で、周囲の人から何度も医療機関の受診を勧められていますが、行かなかったのはなぜですか? エクボさん(以下、エクボ):当時、自分でもアルコール依存症の治療について調べてはみたのですが、「病院に行っても、本当の気持ちは話せないだろうな」という気持ちが強く、どうしても足が向きませんでした。 私は人に本当の自分を見せるのが苦手で、「どれくらい飲んでいますか?」と聞かれても、「あまり飲んでいないです」とか「そんなに困っていないです」と誤魔化してしまうと思いました。それなら行っても意味がないし、行きたくなかったんです。漫画には描きませんでしたが、「病院に行くなんてダサい、人間としてダメな感じがする」という思い込みも少しありました。 本当は弱いのに強がって、弱みを見せたくなかったんです。“お医者さんにアルコール依存症だと言われたら終わりだ”という恐怖心もありました。 ――当時を振り返って、病院に行ったほうがよかったと思いますか? エクボ:今は、病院に行った方がいいと感じています。自分の話をきちんと聞いてくれる人がいるなら、話した方が心が軽くなるし、私自身も、夫に悩みを話せるようになってからラクになった部分がありました。話すことで解決するかはわからなくても、誰かに悩みを聞いてもらったり、相談できる環境は本当に大事だと感じます。 だから今は、周りの人に従って早く病院へ行けばよかったと後悔しています。読者の方からも、「まず病院に行け」というコメントがすごくたくさんきていたので、改めて本当に大事なことだと思いました。もし身近に昔の自分のような人がいたら専門家に相談することを勧めますし、仕事がストレスの原因なら早く辞めるように言うと思います。

嘘をつかないことが大事だった

――お酒の量がある程度減ってから退職したそうですが、その後はどう過ごしていたのでしょうか。 エクボ:当時はすでに結婚していたので、それからはずっと専業主婦をしています。仕事を辞めてからは、「1人のときは飲まない」「夫と一緒にいるときだけ少し飲む」など、自分なりのルールを作って少しずつ減酒していきました。失敗したら、また新しいルールを作る、という繰り返しでした。 ルールを破ってお酒を飲んでしまったら、すぐに夫に報告します。例えば、夫が働いている昼間に飲んでしまったら、「ごめん、今缶ビール飲んじゃった」とLINEで伝えています。 ――嘘をつかないことは、エクボさんにとって重要だったのでしょうか。 エクボ:隠すと次の日も同じことをしてしまうので、嘘をつかないことが大事でした。夫は失敗も淡々と受け止めてくれたので、何でも話せる存在だったことが本当に大きかったです。 報告することで記録に残るし、嘘をつかないからこそ、飲まなかったときは夫と一緒に心から喜ぶことができました。そうやって、少しずつ飲まない日が増えていきました。本来は、断酒が1番いいという知識はあったのですが、一生お酒を完全にやめることは自分にはできませんでした。 ※エクボさんは夫と相談しながら減酒に取り組んできましたが、アルコール依存が疑われる場合は、専門の医療機関で適切な治療や支援を受けることが推奨されています
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減酒をして見えてきた、厳しい現実
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