Entertainment

「誰かわからなかった…」57歳女優が“老けメイク”で激変。Netflix話題作で見せた“みすぼらしい母親”役の凄み

みねとは違った悲壮感が宿る役

 メイクのすごさに触れたが、やはり富田がはまり役だったことは言わずもがなだ。富田は長く活躍している役者ではあるが、ここ数年は特に輝きを放っているように思う。『燕は戻ってこない』(2024年、NHK総合)では、大金を得ることと引き換えに代理出産を決意する主人公・リキ(石橋静河)の叔母・佳子を演じていた。  佳子は脇役で、ストーリーに大きく関わるわけではなかった。それでも、佳子が登場するシーンはインパクトがすごい。リキが全然貯金がないものの、閉鎖的な地元を抜け出して東京に行きたいと話した際、佳子が「話にならん、金なきゃ」と返すシーンは印象的だ。諭すような言い方、笑ってはいるがどこか憐れむような視線。背筋がゾワッとする。そして、自由になるための手段として「結婚」を勧めた姿には、みねとは違った悲壮感が宿っていた。

笑顔と憐れみ、目元に感情を集約させた演技

 みね同様、富田が演じる役から鋭利でジメジメとしたオーラが放たれている要因として、目元での表現力に長けていることが挙げられる。笑っているけど憐れんでいる。懸命に生きているけど精気はなく諦めている。そんなさまざまな感情を目元にギュッと集約させているからこそ、富田の目を見ていると、こちらもいろいろな感情を刺激され、「いやーな感じ」にもさせられるのだろう。
 とはいえ、陰のある中高年女性ばかりを演じているわけではない。ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』(2024年、東海テレビ・フジテレビ系)では、男性アイドルに“いい歳こいて”ハマっている主婦・美香を、映画『風のマジム』(2025年)では主人公・まじむ(伊藤沙莉)と一緒に暮らす元気な母親・サヨ子を演じており、役柄の幅はかなり広い。  どんよりとした空気感をまとった人物だけではなく、快活で親しみやすい役柄まで自然に演じ分けられるのも富田靖子の魅力だ。『地獄に堕ちるわよ』で見せた富田の演技は、改めて“代わりのいない俳優”だと感じさせるものだった。 <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ