Beauty

冬のタイツは「とりあえず黒」でいいのか?垢抜けタイツのコツを知りたい!-トミヤマユキコ

 この調査結果を踏まえた上でタイツ売り場を見回してみると、グレーの種類が多いことに気づかされる。いわゆるふつうのグレーに、チャコールグレー、グレーモク(杢)、ブルーグレー、グレージュなんてのもあった。グレー祭りだ。ただ、タイツ初心者にはこの状況がやや辛い。一体どのグレーを選べば正解なのか、どれだけ見比べてもよくわからないのである。しかも、これまたタイツ界の芸の細かいところなのだが、ふつうのタイツに加えて、リブ編みのタイツまでご丁寧に用意してある。つるつるがいいのか、でこぼこがいいのか、タイツのサンプルをなでさすりながらひとり考えても、答えは出ない。
グレータイツいろいろ

グレータイツいろいろ。買っている間は「コレとコレの何が違うんだよ、わかんねえよ」と思っていました、すみません

 なのでわたしはまたしても買いました。そしてはきました。その結果、明らかに圏内ファッションと相性がいいのは、80デニールのチャコールグレーと判明。着ている服が明るめでも暗めでも、甘めでも辛めでも、まったく問題なく似合う。圏内ファッションというのは、全体の調和が命だが、調和を意識しすぎて無難にまとめるとただの地味なひとになるという落とし穴があるので、黒に近いけど黒ではなく、コントラストがはっきりしすぎず、うまいこと着ているものに馴染むチャコールグレーはかなり優秀。あと、黒い靴×黒いタイツだと、あまりにも足元が一体化しすぎてしまうので、それを防いでくれるという意味でも、チャコールグレーはすばらしい。 ⇒【写真】はコチラ https://joshi-spa.jp/?attachment_id=632946
チャコールグレー

黒もチャコールグレーも似たようなもんだろうと思いきや、明らかにチャコールグレーの方が垢抜けて見えるから不思議です

 次にはいたのは、150デニールのリブタイツ。これはグレーの中では比較的明るいグレージュという色なのだが、光の加減によっては、茶色とかカーキに見えなくもない。黒っぽいファッションに合わせると足だけ浮くかもしれないので、どういう服を合わせるか、ちょっと考えた方がいい。タイツ中級~上級者向けと言えるだろう。 ⇒【写真】はコチラ https://joshi-spa.jp/?attachment_id=632947
グレージュ

初心者には難しいかも知れませんが(というかわたしが初心者なのでまだちょっと難しいなと思っている最中ですが)、グレージュも是非ご検討ください。ちょっと女の子っぽい甘めの服に合わせると良さそうです

 そしてグレーモク(杢)のリブタイツだが、脅威の250デニールはとてもあたたかい上に、締め付けもそこまでキツくなくて、わたしには最高だった。もうこの歳になると、締め付けがキツいというだけで買う気が萎えるのである。数年前に一度だけ、どうしてもタイツをはかないといけないことがあって、はくにははいたのだが、お腹が苦しすぎてウエストのゴム部分をソッコー切った。あとで知ったがこれは妊婦さんがよくやる裏技らしい。妊婦でもないのにゴムを切ったわたしとは一体……。  話が横道にそれてしまったが、とにかく250デニールのリブタイツが一番ラクであることは間違いない。しかしながら、これにはひとつだけ難点がある。ここまで厚手になると、靴の中で生地が余ってしわが寄るのだ。パンプスなどをはく場合は、足の甲の部分に余りが出る。そうなってしまうと、スニーカーなど、ゆったりと足を包んでくれる靴を選ぶしかないし、自動的にカジュアルファッションへと接近してゆくのを避けられない。あと、250くらいになると、厚手のタイツというかもはや薄手のパンツなのでは?という状態に突入するので、脚がいくらか膨張して見える。したがって、圏内ファッションと相性がよくて、脚が太く見えないリブタイツは150デニールまでかなあという感じだ。
250デニール

もっともはきやすく暖かい250デニールですが、これはもうスニーカーに合わせた方がいいですね

 こうして、10種類ほどのタイツをはき比べることで、ようやくタイツの基本が見えてきた。意外だったのは、野暮ったいかなと思っていたリブタイツが、まったくもって野暮ったくないどころか、圏内ファッションにも合わせやすいということ。さっき、黒のタイツは60デニールあたりがベストで、80以上は透け感がなくてイマイチだと書いたけれど、どうせ透け感がないのなら、思い切ってリブタイツにしてしまった方がオシャレに見える。リブの縦ラインは、足長効果があるし、なんといっても、みんなつるつるタイツをはいている中でリブをはくと、さりげなく違いのわかる女をアピールできる(女子ってそういうちょっとした違いを見ているものですよね)。  というわけで今回の調査結果をまとめると、①黒は60デニールが基本。②色違いを買うなら、チャコールグレーなど、濃いめのグレーにする。③リブタイツは、黒・グレーともにオススメだが、250デニールまでいくとかなりカジュアル化するので注意。以上の点を抑えておけば、多すぎるタイツを前にして困り果てることはなくなるだろう。  今回のタイツ調査は、すごくやりがいがあった。でもひとつだけ愚痴らせて欲しい。今のタイツ界はこれだけ多様なタイツを作る芸の細かさがあるくせに、タグに何デニールかを書いてくれない(ツンデレ?)。みんなどうやって見分けているのだろう。わたしさっそく黒の60と80がごっちゃになっちゃったんですけど……。 【トミヤマ・ユキコ】 ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。 Twitter: @tomicatomica (タイトルイラスト/澁谷玲子)
トミヤマ・ユキコ
ライター・大学講師。大のパンケーキ好きが高じて著したガイド本『パンケーキ・ノート』(リトルモア刊)が話題に。大学では少女マンガ・サブカルチャーについての講義を担当している。そのほか「週刊朝日」、「文學界」、「ESSE」などで書評・コラムを連載中。ファッションに対して積もり積もったコンプレックスあり。 Twitter @tomicatomica
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