最初に浮気がわかったのは、ナオミさんが第一子を妊娠しているときだった。つわりがひどいのを見ていられなくて、夫は逃げたのだ。
「
女性から『私、そちらのだんなさんとつきあってるんだけど』という電話が来たんですよ。『だからなに? 私には関係ないので夫と話し合ってください』と返しましたけど。ショックというよりは、まあ、こんなこともあるだろうなあとどこかで悟っている自分がいました。
夫にこんな電話がきたと言ったら、夫は泣いて謝ってた。お詫びの印にと翌日、ブランドバッグを買ってきたんですよね。そこから、
夫の浮気がバレるたびに、アクセサリーやバッグが増えていきました。適当に売りさばいて、私の母にお小遣いをあげたりしています」
すでに浮気発覚が行事のようになっているらしい。彼女にとって大事なのは子どもたちの心身の健康だ。
「夫は発覚すると泣いて謝るのに、また繰り返す。でもふだんは子どもたちの前で、『パパはママがいちばん好きなんだ』なんて言っちゃうし、子どもたちのことは大好きだし。調子がよくて軽い人なんですよ。浮気が彼のストレス解消なのかどうか知りませんが、家庭にダメージを与えないなら放っておくか、という感じですね」
興味深いのは、浮気発覚後であっても、ナオミさんが“夫婦生活”を拒絶していないことだ。一般的には浮気した夫とはもう関係を持てないという女性が多いのだが。
「もはや高等プレイだと親友に言われるんですが、
浮気発覚後はわざと嫉妬しているように振る舞うんです。そうすると夫はこの上なくベッドで尽くしてくれる。私も『私なんかよりあの女が好きなんでしょ』と嫉妬にまみれているフリをすると興奮するんですよね。ヘンタイ夫婦って言われちゃいそうですが」
それでも、正直なところ、ナオミさんだって夫の浮気がわかれば決していい気持ちではないという。だが、それが「夫」なのだから、それを受け入れるかどうかは自分の問題かもしれないと思った時期があるそうだ。
「しょっちゅう浮気しているんだから、それにいちいち反応していたら身がもたない。そういうヤツだと割り切るしかないんですよ。いい生活をさせてもらっているから、舅姑には感謝しています。私、舅姑とはとても仲がいいの。あちらも、こんな息子でごめんねって言ってくれる。
親たちと妻がこぞって彼のめんどうを見ているのかもしれませんね。本人だけが天真爛漫で」
この先、どうなるかはわからないが、子どもたちも今のところはまっすぐ育っている。夫のことはさておき、義父母と子どもたちが元気で楽しそうなら、私はそれがいちばん。ナオミさんはそう言ってにこやかに笑った。
<文/亀山早苗>