夫の親族と縁を切れる「姻族関係終了届」。母が提出していてモメ事に…
実は「夫(妻)の親族が嫌いだ」というのはよく聞く話。特に嫁姑問題はいつの時代も悩みのタネになりがちです。
夫が先に死んでも、夫の親族と一生つきあわなきゃいけないのか、あちらの墓に入るのは嫌だ…と、今から暗い気分になる人もいるようです。
そんなとき、夫の親族と永遠に縁を切る「姻族関係終了届」という手続きがあるのをご存じでしょうか?
実は、筆者の実母が、この手続きを取っていたのです。そのせいで筆者は大変な思いをしたのですが…。今回はその親族トラブルをご紹介します。
まずは姻族関係終了届について説明したいと思います。
結婚すると配偶者(以下、夫とします)との婚姻関係とともに、夫の親兄弟とも、法的には親族(姻族)という扱いになりますよね。離婚すればこの関係は解消されるのですが、夫が亡くなってしまった場合には、親族との関係は継続されるというのが現在の仕組みです。
ところが、夫側の親族との関係を終了させる方法として「姻族関係終了届」というものがあります。これを役所(本籍地か居住地)に提出するだけで、夫の親族と法的に縁を切ることができるのです。
親族側の了承はいらないので、自分で出してしまえば一方的に縁切りできるわけです(夫が生きている間は届け出できません。そのため“死後離婚”と呼ばれることも)。
「姻族関係終了届」の届け出件数は、2013年度/2743件から、2017年度/6042件と急増しています。
筆者の実母がこの届けを出したのは、次のような経緯からでした。
もともと父が早くに亡くなっていた我が家では、父の母親(筆者にとっては祖母)の面倒を誰がみるかという問題がありました。母が金銭的に面倒をみていたのですが、二人は折り合いが悪く、それを見ていた娘である筆者は苦々しい思いを抱いていました。
ある日、祖母が体調を崩して、そのままパタパタと亡くなってしまいました。それだけでも悲しいことですが、遺族には相続の問題など様々な手続きがあって、なかなか喪に服す時間もありませんでした。どうやってそれらの手続きを進めようか…と家族で話し合おうとしたとき、母から思いもよらない一言が発せられました。
「私は姻族関係終了届を出してるから、もうあの家とは関係ない。あとは孫であるあなたがなんとかしなさいね」
ええっ!? 突然のそんな言葉に戸惑いました。
「姻族関係終了届って何?」「相続とか全部私がやるの?」
いろいろな疑問が湧いてきましたが、話したら修羅場になりそうで、母に聞けませんでした。
嫁姑関係で苦労しているのは知っていたのであまり母を責めたらかわいそうと思う一方で、なぜそんな大事な手続きをなんの相談もなく勝手に進めてしまったのかと腹立たしく感じました。
結局、祖母の財産を調べることから、相続や年金・保険など諸々の雑務を、私が一手に引き受けざるを得ない状況になってしまいました。
“死後離婚”とも呼ばれる「姻族関係終了届」って何?
祖母と不仲だった母が「姻族関係終了届」を出していた
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