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新井浩文のような客は多い。性被害にあった私が泣き寝入りしてしまった事情

 派遣型マッサージ店の女性に対する強制性交の疑いで、2月1日に逮捕された俳優の新井浩文容疑者。毎度のことですが、被害女性をバッシングするセカンドレイプのような声もネット上には溢れています。  今回の派遣型マッサージ店は風俗産業ではありませんが、夜男性の家に一人で行く仕事なため、「女も悪い」「わかっててその仕事をやってるんだろ」と批判する人がいるのです。  たとえ風俗産業でも、業態ごとに「やっていいサービスはここまで」と決められています。ですが、それ以上のことを強要する客はよくいるし、被害女性が泣き寝入りすることが多い……と、風俗店で働いた経験もあるライター・藍川じゅんさんは言います。  藍川じゅんさんに、現場の実態を、経験も交えて綴ってもらいました。 (以下は、藍川さんの寄稿)

あえて性的サービスなしの店で性行為におよぶ男性もいる

「名脇役」と謳われた俳優の新井浩文が強制性交の疑いで逮捕された。 『週刊文春』(2月7日発売号)には「私も本番強要された」という複数の女性からの証言が掲載され、「映画界きってのきさくなモテ男」のイメージは、完膚無(かんぷな)きまでに崩れ去った。
性犯罪加害男性, レイプ

写真はイメージです(以下同じ)

 被害者が所属していたお店はマッサージ店であり、容疑者は性的サービス禁止の念書にサインをしていたという。  しかし、風俗好きな男性の中には「あえて本番なしのお店で遊ぶ(=性行為する)のが好き」という人が、残念ながら一定数存在する。 「100%やれる風俗より、禁止されてる店の女の子を口説き落としてやった方がドキドキするし達成感がある」 という身勝手な理由でキャストにしつこく迫り、なし崩し的に本番行為に及ぶのだという。  新井容疑者が果たしてそのタイプのお客だったかどうかもはや知る由もないが、「若くて素人っぽい新人を要求していた」との証言が本当ならば、意図的に「要求を断り切れなさそうな子」を狙っていた可能性は高い。

被害にあっても泣き寝入りするケースが後を絶たない

暴力、モラハラ、DV被害女性 男性と2人きりになる仕事では、常に性的な役割を求められたり押しつけられたりする危険性がつきまとう。直接体に触れる職種の場合は、なおさらだろう。  相手はお客であり、なおかつ自分より腕力のある人間だ。嫌なこと・失礼なことを要求されても、逆上させないようにやんわりとしか断れず、穏便にやり過ごすしかない。  そのため、後から「ダメだと言ったのに挿れられた」と訴えても、お客に「嫌がってるようには見えなかった」と反論され、「毅然(きぜん)と断らなかった・逃げ出さなかった私がいけなかったのかも」と女性が自分を責めてしまい、そのまま泣き寝入りするケースが後を絶たない。

被害にあった時、若かった私は反省さえした

 著者の個人的な話で大変恐縮だが、イメクラで働き始めた20代の頃、初老の客にいきなり生で挿入されたことがあった。  びっくりして制すると、その客は「ごめんごめん、つい挿れたくなっちゃってー」と猫撫で声で謝り、菓子折りの入った小さな紙袋をくれた。  その時の私は、憤怒することも店に電話することもできず、ただただショックで固まっていた。不自然な優しさと菓子折りまで用意する周到さが薄気味悪く、強く抗議すれば態度を豹変させるだろうと思うと、怖くて何も言えなかった。 壊れた人形 性犯罪レイプ セクハラモラハラ被害女性 サービス終了後、店長は優しく慰めてくれたが、「ひどい奴だね。出禁にしておくからね」と言うだけで、客に性病検査代を請求することもなかった。  あまりのあっけなさに、新人だった私は「この程度のことで騒いでしまって申し訳なかったな」と反省さえした。  ちなみに、菓子折りの中身はスーパーでも買えそうなパサパサのクッキーだった。「本当に『この程度のこと』なんだな」と改めて思い、缶ごと捨てた。
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黙ってしまった自分を恥じた
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