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杉咲花『ハケン占い師アタル』の最終回が思い出させた、「働くことの快感」

 3月14日に最終回が放送された、杉咲花主演のドラマ『ハケン占い師アタル』(テレビ朝日系/木曜夜21時~)。  杉咲演じる派遣社員の的場中(まとばあたる)は、「あらゆるものが見える能力」を持ち、毎回、周りの社員たちの悩みを占いによって解決してきました。  
『ハケン占い師アタル』

『ハケン占い師アタル』公式サイトより

最終回は見事だった

 脚本を担当するのは、『女王の教室』『家政婦のミタ』など、時代時代の社会問題をセンセーショナルに描いてきた遊川和彦氏。今作では、現代が抱える「会社」「仕事」の問題がどのように描かれるのかが注目されましたが、その答えは最終回で見事に回収されています。  遊川作品では、これまでも特殊な能力とトラウマを併せ持つ、無表情なロボット的ヒロインが多数登場してきましたが、アタルの場合は、むしろ「笑顔」がデフォルト。通勤時だけに見せる無表情のサングラス姿は、「眼力=占い」を封印するためのものでした。  社員に仕事を頼まれたときのセリフ「喜んで!(にっこり)」には、序盤は「居酒屋かよ」というツッコミもありましたが、この意味は終盤で明かされます。母親のコントロール下でずっと占いをやらされてきたアタルは、占った相手などから「働いたことあんの?」「占いしかしたことないのに」と非難された記憶を持っているらしいことが、夢に登場しました。  そうした現状から逃げ出し、派遣社員として働き始めたアタルにとって、何もかもが初めての経験。新鮮な気持ちで、心から「喜んで」と言っていたのでした。最初は不気味に思えた「初めての経験」の記念撮影も、同じ理由からでした。

うまくいかない社員たちを占うアタル

 アタルが「占う」のは、ミスばかりで決断力がなく、自分に自信の持てない社員や、上司のパワハラにうんざりして転職を考えている社員、コネ入社で仕事を任せてもらえない社員、仕事はできるが、他者に批判的で自分が報われないと感じている社員、プライドが高く、過去の成功例にしがみつくうち、孤立してきた社員、仕事ができて、責任感があり、NOと言えない苦労人の上司など、様々な世代・立場の人たち。  彼らはそれぞれアタルによって救われていきますが、最終的に、アタル自身が彼らの「逆占い」によって、母親のコントロール下から解放されます。そして、彼らの励ましを受け、サングラスで封印してきた特殊な能力を仕事にする=派遣占い師になることを決意するのでした。
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