斎藤工『麻雀放浪記2020』を語る 「10年がかりで本当に難産でした」
大いに人に委ねていきたい
斎藤:それはないです。携帯の登録メモリを増やしたいというような気持ちは全くない。僕の仕事は受け身の部分も多くて、自分から何かをしようとすると、移動映画館しかり、映画製作しかり、ひとりでできることって限られているんです。
そういうときに誰かの能力や才能をお借りしたり、一緒になにかすることで実現していくことが多い。そのことを小さな頃から自分のなかで分かっていたつもりなので、誰かと関わりながら物事をなしていくというのは、僕の生業にはなっています。大いに人に委ねる。
――人に委ねる。
斎藤:はい。ある意味、人に依存していくというか。何かをするため、同じ目的を達成するためには自然と仲間が増えるんだなと感じます。ただ、決してただただ付き合う人を増やしたいという思いではないです。
――でも大切だとは。
斎藤:思います。結果、必要な人というのは必ずいる。その人たちがいるから成り立っているのだということをたくさん見てきたので。ひと様と自分が掛け算でどうなっていくのか。そうしたことが、ひとつ生きていくなかで僕の希望になっています。
――お仕事を抜きに、いま気になることをひとつ教えてください。
斎藤:農業ですかね。河瀨直美さんにも勧められたんですけど。自然のもののバイオリズムみたいなものと自分を照らし合わせていかないと、どうしても前のめりな時間を過ごしがちになると思うんです。それがいけないことではないかもしれないですけど、自分の現在地を図るためには、自然の周期を感じることは大切じゃないかなと思っています。
――最後に公開に際して、ひと言お願いします。
斎藤:10年間、本当に難産でした。出来上がったあとにも思ってもいなかったような苦難が待っていて、何度も挫折しかけましたが、劇場に作品を受け取りに来て下さる、この作品が必要な人が必ずいると信じています。
<取材・文&写真/望月ふみ>
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(C) 2019「麻雀放浪記2020」製作委員会
望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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『麻雀放浪記2020』は全国公開中 配給:東映 オフィシャルサイト



