Vol.12-2 「妻は3人と不倫して1000万円使い込んでた」専業主婦と東大卒夫の崩壊劇
浮気相手とのやりとりに愕然
カカオトークは韓国発のメッセンジャーアプリだが、日本では知名度も普及率も低い。それを逆手に取って、浮気相手とのやり取りに使われるというのだ。LINEはメジャーすぎて、万が一浮気を疑われた時、相手が真っ先にチェックする危険がある。
「思った通り、カカオトークがビンゴでした。3人とも1日数十件はメッセを送り合っていて、しかも1メッセージがめちゃくちゃ長い。僕は急いで画面を自分のスマホで何十枚も撮影しました。すると真希が帰ってきたので、急いで洗面所とつながっている風呂に行き、シャワーを浴びながら撮った写真を改めて読み返したんですが……衝撃でしたね」
そこには「早くこの家から出ていきたい」「もう夫は用なし」「なぜこの人(森岡さん)と一緒にいるのか、わからない」「まもなく一人暮らしをはじめます」といった文章がてんこ盛りだった。
「僕は、真希が3股をかけようが4股をかけようが、それが5股だろうが6股だろうが、つまり浮気だけだったら、たぶん許せたと思います。専業主婦になって心のバランスを崩し、僕と理想的なセックスができなくて不満を溜め、さびしい思いをして別の男に走ったとしても、やり直しようはあると」
でも、と森岡さんは語気を強めた。
「カカオトークの文章を読んですぐ悟りました。ああ、この人はもう、伴侶が僕じゃなくてもいいんだ、僕になんの未練もないんだと。これまで、事態が好転すると信じて耐えてきた僕は一体なんだったんだろうと、悲しくなりました」
2017年6月23日、金曜日の朝。真希さんの浮気に関する証拠をすべて固めた森岡さんは、何食わぬ顔で真希さんに「行ってきます」と言い、家を出た。手には当座ウイークリーマンションで過ごすための生活用具を携えて。
ここから、森岡さんの長い1日がはじまる。
※続く#3は、6月13日に配信予定。
※本連載が2019年11月に角川新書『ぼくたちの離婚』として書籍化!書籍にはウェブ版にないエピソードのほか、メンヘラ妻に苦しめれた男性2人の“地獄対談”も収録されています。男性13人の離婚のカタチから、2010年代の結婚が見えてくる――。
<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】稲田豊史
編集者/ライター。1974年生まれ。映画配給会社、出版社を経て2013年よりフリーランス。著書に『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)、『オトメゴコロスタディーズ』(サイゾー)『ぼくたちの離婚』(角川新書)、コミック『ぼくたちの離婚1~2』(漫画:雨群、集英社)(漫画:雨群、集英社)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)がある。【WEB】inadatoyoshi.com 【Twitter】@Yutaka_Kasuga


