一方、森岡さんは相談した離婚弁護士から
「できれば浮気相手と真希さんとのLINEやり取りのスクショが欲しい」と言われる。
「真希は複数台のスマホを持っていましたし、全部にロックがかかっていましたから、それは難しいなと思いました。ところが、ある日たまたま真希がコンビニにコーヒーを買いに行った時、洗面所にスマホを忘れていて、しかもロックが解除されていたんです。
僕は急いでLINEを立ち上げましたが、それらしきやり取りは見つけられません。でも、ふと何かで読んだ記事を思い出したんです。
浮気のやり取りには『カカオトーク』がよく使われるって」

カカオトークは韓国発のメッセンジャーアプリだが、日本では知名度も普及率も低い。それを逆手に取って、浮気相手とのやり取りに使われるというのだ。LINEはメジャーすぎて、万が一浮気を疑われた時、相手が真っ先にチェックする危険がある。
「思った通り、カカオトークがビンゴでした。
3人とも1日数十件はメッセを送り合っていて、しかも1メッセージがめちゃくちゃ長い。僕は急いで画面を自分のスマホで何十枚も撮影しました。すると真希が帰ってきたので、急いで洗面所とつながっている風呂に行き、シャワーを浴びながら撮った写真を改めて読み返したんですが……衝撃でしたね」
そこには
「早くこの家から出ていきたい」「もう夫は用なし」「なぜこの人(森岡さん)と一緒にいるのか、わからない」「まもなく一人暮らしをはじめます」といった文章がてんこ盛りだった。

「僕は、真希が3股をかけようが4股をかけようが、それが5股だろうが6股だろうが、つまり浮気だけだったら、たぶん許せたと思います。専業主婦になって心のバランスを崩し、僕と理想的なセックスができなくて不満を溜め、さびしい思いをして別の男に走ったとしても、やり直しようはあると」
でも、と森岡さんは語気を強めた。
「カカオトークの文章を読んですぐ悟りました。
ああ、この人はもう、伴侶が僕じゃなくてもいいんだ、僕になんの未練もないんだと。これまで、事態が好転すると信じて耐えてきた僕は一体なんだったんだろうと、悲しくなりました」
2017年6月23日、金曜日の朝。真希さんの浮気に関する証拠をすべて固めた森岡さんは、何食わぬ顔で真希さんに「行ってきます」と言い、家を出た。手には当座ウイークリーマンションで過ごすための生活用具を携えて。
ここから、森岡さんの長い1日がはじまる。
※続く#3は、6月13日に配信予定。
※本連載が2019年11月に
角川新書『ぼくたちの離婚』として書籍化!書籍にはウェブ版にないエピソードのほか、メンヘラ妻に苦しめれた男性2人の“地獄対談”も収録されています。男性13人の離婚のカタチから、2010年代の結婚が見えてくる――。
<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>
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