――なるほど。なんとなくイメージはつかめましたが、舌の老化とどんな関係があるのでしょうか。
「それには呼吸の時の舌の位置が関係しています。舌は本来、口の中の『上顎辺りの上の歯があるところ』についているのが正しい位置です。そして鼻呼吸をしていると、舌はこの位置に自然にきています。ですが口呼吸になると、舌が口の下のほうの『下顎辺りの下の歯があるところ』に落ちてしまうようになるんです」

口中と舌のしくみ(イラスト:みのわ先生のブログより引用)
――え、そうなんですか?
「はい。では舌の位置を意識しながら口呼吸をしてみてください。次に鼻で呼吸してみてください」
――(鏡を見ながらやってみたところ)口呼吸の時は下がっていた口角が鼻呼吸できゅっと上がり、唇自体の位置も上に1センチくらい上がりました。驚きです。
「そうでしょう? 舌の位置を意識しながら、2パターンの呼吸をしてみると、鼻呼吸をしている時の舌は上顎の下についていることがなんとなくわかりますよね。そして口呼吸の時は舌が口の下についているはずです。健康指導の講演でも、参加者の皆さんに2つに挑戦してもらいます。そしてお隣同士で顔を確認し合ってもらうと、口呼吸の時は口角が“への字”になって下に向いている人も、鼻呼吸に変えたとたん口角がきゅっと上がるんです」

研修の様子
――ということは、逆に毎日口呼吸をし続けていたら、どんどん下がっていく……。
「呼吸は1日平均2万回以上、または2~3万回するとも言われています。と言われていますが、口呼吸を続けていると頬が本来あるはずの位置からどんどん下がっていきます。しかも呼吸をしている間じゅう上がっているはずの舌が下顎に落ちてしまったまま使われないでいるので、舌の筋力が衰えます。すると舌を上顎の位置にキープすることできづらくなっていき、よりいっそう口呼吸になり、顔が長くさらに間延びしていくんです」