ダセェ~と思われないデニムは一体どこにある?/峰なゆか
真にオシャレな人にはなれなくても、オシャレな人のフリをして周囲の人間を欺(あざむ)きたい!という思いで、漫画『アラサーちゃん』の作者・峰なゆかさんが描いたイラストエッセイ『もっとオシャレな人って思われたい』(11月20日発売)。
今回はデニムにまつわるモヤモヤを紹介します。
誰もが一着は持っているであろうデニム。都内で決行したオシャレ追求クルーズにて、クローゼットの定番に峰なゆかさんが初挑戦しました。はたして、今はくべき旬な一本は見つかるのか…?(以下、峰さんの寄稿)
デニムを一本も持ってません。と言うとわりと驚かれるのですが、これは私のスニーカーに対する苦手意識とまったく同じ理由で、何がダサくて何がオシャレなのかがまったくわからないからです。
私センスで選んだスニーカー/デニムを「プッ、ダセェ~」とか思われるのが怖すぎる!
ところが昨年の夏にポケモンGOのやりすぎで膝を痛めた結果、スニーカーを履くことを余儀なくされました。煩悶した揚げ句に私が向かったのはユナイテッドアローズ。アローズなら絶対ダサいスニーカーなんて置いてないはず! という安直な理由からNIKEのスニーカーを購入し使用してみたところ、これがものすごく便利なのです。
もしかしてデニムもはいてみたら便利なのでは……と考えた私が向かったのは、バーニーズニューヨーク。
バーニーズなら絶対ダサいデニムなんて置いてないはず!
早速店員さんにダサくないデニムのポイントを聞いたところ、「今の流行は裾は切りっ放し、もしくは細めに1、2回折る。でも10センチくらいで太めに折るのもまたリバイバルしつつある。今年はワイドパンツやボーイフレンドデニムがおすすめだけどスキニーも根強い愛用者がいるし、なんなら今こそあえてのブーツカットも来ている」とのこと。なんだ、その「犯人は20代から30代、もしくは40代から50代」みたいなノリ。

でも、私だってデニムをはいてた時代はあったんですよ。10年以上前、私の学生時代は、デニムのわかりやすい正解があったんです。できるだけタイトで、できる限りローライズのシマロンかX-girl。それさえはいとけばオールオッケーだったのに、今時はデニム戦国時代。さまざまな形のデニムが店頭を跋扈(ばっこ)していて、途方に暮れてしまいます。
とりあえず片っ端から試着した中で最もしっくりきたのがアクネストゥディオズのスキニーデニム。
私が学生時代にはいていたデニムと股上の深さ以外の違いがよく分からない、という点が私のゼロ年代魂を安堵させるのでしょう。それに天下のアクネのタグが後ろに付いているから、これなら「プッ、ダセェ~」とか思われることはないはずなのです!
あれっ、でもオシャレって誰かに「ダセェ~」って思われないように服を選ぶことだったっけ……という疑問はドブにぶち込んで、帰宅後にお買い物後恒例の一人ファッションショーを開催したところ、今まで何と合わせればいいのか分からなくて一回も着てなかったトップスの合うこと合うこと。
かたくなにデニムを拒否していたこの十数年はなんだったのか、と困惑しながらも、私のデニム再デビューが今、始まる!
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<文・絵/峰なゆか>
私がデニムを一本も持っていないわけ



ダサくないデニムがわからない時代



峰なゆか
漫画家。アラサー世代の女性の恋愛観を冷静かつ的確に分析した作風が共感を呼び、各誌で活躍中。『アラサーちゃん 無修正』(全7巻)シリーズは累計70万部を突破。週刊SPA!で連載中の自伝的漫画『AV女優ちゃん』(既刊3巻、以下続刊)、破格の育児漫画『わが子ちゃん』『わが子ちゃん2』『わが子ちゃん3』が発売中。X:@minenayuka