何度も妻に浮気がばれ、そのたびに許してもらってきたタカシさん(44歳)は、「妻には頭が上がらない」という。そう言いながら、またも浮気をしてしまうのだ。
「ただ、ボクは女性に対しても離婚するから一緒になろうなんて言ったことはない。妻とは絶対に別れないと言うんです。でもそういう言い方をすると、かえって燃えてアグレッシブになる女性もいるんですよね」

女性が家に乗り込んできたこともあるという。妻は玄関に出て行った。そのときタカシさんはびくびくしながら、妻の後ろに控えていたらしい。
「妻はすごかったですよ。あんたなんかに夫は渡さない、出るところに出るから覚悟しておきなさい、ふざけたこと言うんじゃないと、ドスの効いた声で追っ払ったんです。すげえなあと思うと同時に、妻に任せておけば大丈夫だと安心しました」
自分の浮気の尻ぬぐいをさせるなんて、と妻からは怒られたが、彼には妻が、いじめっ子から守ってくれる母親のように見えたそうだ。
こういう夫婦関係に賛否はあるだろうが、当事者がよければ他人がとやかく言うことではないだろう。
「妻は、『あんたが年とったらめんどうみないで放り出す』と言っていますが、そんなことができる女性ならとっくにボクに離婚をつきつけているはず。なんだかんだ言って、ボクは妻が大好きだし、向こうもそうなんじゃないかと思っています」
タカシさんはあっけらかんとそう話す。

いつか本当に放り出される日が来るかもしれないし、彼が言うように「こういうやんちゃな男だから、私がめんどうみるしかない」と妻は思っているかもしれない。それはわからないが、少なくとも今、妻は「やんちゃな子を見守る母」ではあるだろう。
結婚した当初は対等な関係で始まったとしても、時間がたてば力関係が出てくるものだ。頭が上がらない夫と、そんな夫を守り続ける妻。それはそれでひとつの関係ではあるだろう。
<文/亀山早苗>
⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】