30歳過ぎて高収入の仕事を辞めて語学留学なんて、リスクもあると思いますけど、尚子さんの場合は良い変化をもたらしたんですね。
「本人がよく言ってるんです。
収入は留学前よりかなり下がっているので、いわゆるキャリアダウンをしたと思うけれど、今のほうが、自分に合った生き方をしている気がするって。
今では、高収入な仕事よりも、人の役に立てるような仕事に興味があるようです。フランスでたくさんの人に助けてもらったことに感謝しているんだと、ついこの間も熱く語っていました」

写真はイメージです
今あるものを捨てるという決断が、良い結果につながるかどうかは人それぞれ。ただ、親友として尚子さんを近くで見てきた聖美さんは、こう言います。
「
思い切った決断って、時には大切ですね。実は私も尚子に影響されて、髪をバッサリ切ったんです! 大したことではないのですが(笑)、長年のばし続けた髪を切るのは勇気が必要でした。自分にはロングヘアしか似合わないと思い込んでいたのですが、切ってみたら想像以上に良かった。あと不思議ですが、
髪を切ったことをきっかけに、仕事や人間関係で悩むことも少なくなった気がします」
大切にしてきたものをあえて「手放す」決断――ときには失敗することもあるかもしれませんが、本心に向き合い行動した時間と経験は、きっと自分を支える力になってくれることでしょう。
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私が「手放して」よかったもの―
<文/青山文 イラスト/ただりえこ>
青山文
某放送局に勤務していたとき、いきなり思い立ってヨーロッパに語学留学。帰国後はウェブ業界に入り、現在は主に海外ニュースの記事を編集&執筆。ときどき話題の商品レビューや子育てにまつわる失敗談なども書いています。反抗期真っ盛りの小学生の息子と日々格闘中。