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お姫様ではなく、かっこいい鬼婆になりたい2人の女性の物語/『ババヤガの夜』

いつまでも熱が胸に残る、静謐なラストシーン

 また、短編集『完璧じゃないあたしたち』もそうであったように、王谷晶の作品はハッピーエンドでもバッドエンドでも、ラストシーンが印象的でその余韻がなかなか冷めない。 (この短編集はどれもオススメなのだが、特に『SameSex,DifferentDay』と『十本目の生娘』はウっと呻いてしまうくらいいい終わり方だった。『ばばあ日傘』も傑作なので、是非)。
王谷 晶「完璧じゃない、あたしたち 」ポプラ社

王谷 晶「完璧じゃない、あたしたち 」ポプラ社

『ババヤガの夜』のラストシーンは、序盤の緊張感が嘘のように静謐(せいひつ)だ。「本物の鬼婆になれる頃合い」だと言う新道。笑う尚子。  エンドロールが終わって明るくなって、家に帰ってもまだ物語から抜け出せない映画のように、いつまでも熱が胸に残る。

元気な鬼婆が増えるのではないか

『ババヤガの夜』は、読むだけでエネルギーがみなぎってくる作品だ。たくさん寝て、ガツガツご飯を食べて、身体を動かそうという気持ちになれる。  この本が多くの女性たちに読まれることで、元気な鬼婆が増えるのではないかとこっそり期待している。 <文/藍川じゅん> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
藍川じゅん
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。
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