離婚を決めた、夫のひどい一言。目の前で倒れた高齢女性を見たのに
離婚理由に「価値観の違い」がよく挙げられる。
価値観など違って当たり前だし、それをすりあわせていくのが結婚生活なのではないかという意見もある。だが、どうしても許せない「価値観の違いがあった」と語る女性もいる。
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食べ物の好みが価値観なのかと思われるかもしれないが、「価値観にも絡(から)んできます」と断言するのは、ヨシエさん(36歳)だ。30歳の誕生日3日前に婚姻届を出し、3年後に離婚した。
「30歳までには結婚したいと思って焦っていた私もいけないとは思うんですが……。28歳から29歳にかけてやたらと合コンに出ていました。そのひとつで男友だちから紹介されたのが,のちに結婚したユウキです。2歳年下だったけど押しが強くて、すぐにつきあうことに。
男友だちからも、『あいつは結婚願望が強いんだ。ヨシエのことがすごく好きみたい。いいやつだよ』と言われたのも後押しになりました」
つきあってみると、確かに『いいやつ』だった。素直で前向き、人の悪口をなどいっさい言わないところも好感がもてた。映画、遊園地、バッティングセンターなど、いろいろな場所でのデートを経て3ヶ月足らずで双方の両親を呼んで会食、すぐに婚姻届を出した。
「結婚式代わりに友人を呼んでパーティはしましたが、ふたりとも仕事が忙しかったのですぐに日常生活が始まりました。平日はほとんど食卓を囲むこともなかったし、週末は一緒に料理して食べる感じでしたね」
ただ、生活が続くうち、ヨシエさんは食生活が偏っていることに気づく。彼はほとんど和食を食べないのだ。
「あるとき、今日は私が料理すると言って焼き魚、味噌汁、煮物など典型的な和食を作ったんです。私はどちらかといえばこういう食事のほうが好きなので。
そうしたら彼は食卓を見るなり口を尖らせて、『食べられるものがない』って。そこで初めて、彼はラーメン、ハンバーグ、カレーだけで暮らしていける人だと知りました。しかも野菜はじゃがいも以外、ほとんど食べられない。鶏肉もダメ、魚類はエビとカニ以外はほぼ全滅。
過去を振り返ると、そういえば彼はファミレスでいつもハンバーグ定食、ときどきエビフライみたいなオーダーだったなあと思い出して」
あげく、野菜なんてなくても生きていけるよ、一生必要ないと言った彼に、ヨシエさんはムッとした。なぜならヨシエさんの実家は野菜を主に作っている農家だから。
「野菜が嫌いなのはしかたがないかもしれないけど、生産者まで必要ないと言われたようでムカッとしたんですよね。うちの親、農家なんだけどと言ったら、『知ってるけどさ』って言うだけ。失言だとわかってない。そこに違和感を覚えました」
きっかけは単なる食べ物の好みの違いだが、それだけではすまなくなったのだ。
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写真はイメージです(以下同)
食べ物の好みのズレから始まった
「野菜なんてなくても生きていけるよ、一生必要ない」
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