離婚から3年ほど経った頃、ようやく新しい出会いに前向きになれたことから、朋美さんはマッチングアプリを利用してみることに。2歳年上の男性と意気投合し、交際するようになりました。
「彼はとにかく、イベント事を大事にしてくれる人。私の誕生日もちゃんと祝ってくれて、バレンタインにはこちらが委縮してしまうほど、喜んでくれました。そういう人だと知ったのに、初めてのホワイトデーは怖くてたまらなかったです」
不安だらけで迎えたホワイトデーでしたが、その日はこれまでとは違った感情が芽生えた1日となりました。夜景の見えるレストランで食事をごちそうしてくれ、チョコが苦手な朋美さんでも食べられそうなお菓子を「お返しだよ」と、くれた彼。今まで経験したことがない優しさに触れ、朋美さんは嬉しく思い、戸惑いもしました。

「他の人にとっては当たり前なことなのかもしれませんが、私は何も与えられないのが当たり前だったので、なぜこんなことをしてくれるのかとも思い、彼に尋ねてしまいました」
すると、彼は「ホワイトデーはいつもよりちょっといいご飯を食べたりして、朋美が笑顔になる日なんだよ。バレンタインありがとうの気持ちが伝われば嬉しいな」と言ってくれたそう。この言葉は、朋美さんの心に深く刺さりました。
「けなされるのが当たり前な期間が長かったので、人から思ってもらえることが怖く感じるときもありますが、ありがたいことにこうやって優しさをくれる人と出会えたので、ゆっくりと自分も変わっていけたら……と思います」
今年のホワイトデーも朋美さんはきっと、笑顔でいられたはず。これまで、人の気持ちを最優先してきたからこそ、これからは自分を優先した人生を歩んでほしくなります。
<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291