全体の83%が妊娠中に不安があったと回答しています。出産時期での差もなく、どの属性でも不安や心配を抱えている不安定な状況といえるでしょう。
出産については全体の97.9%が「産んでよかった」と回答し、母親の年齢や世帯年収別でも大きな差はありません。
育児について「楽しい・幸せ、充実している」と感じる人は全体で90%前後にものぼります。とくに年齢別では、年齢若い母親ほど子育てをポジティブにとらえている傾向があることがわかっています。
不安意識については、
「自分の時間がほとんどなくつらい」「子どもの成長に不安がある」「子育てを負担に感じる」「孤独を感じる」人はいずれも約30%~40%です。とくに「孤独感」は世帯年収が低いほど高く出ており、また職業別では
専業主婦でも高い(36.8%)ことが特徴です。

出典:たまひよ 妊娠・出産白書 2021
また「2020年に気になったニュース」でも「産後うつ」が1位だったことから、
産前産後の母親にとって孤独感は見逃せない問題であると考えられます。
気になった話題の2位以下は、「不妊治療保険適用拡大」「
ポテサラ論争」(子連れの母親が総菜コーナーでポテトサラダを買おうとしたところ高齢の男性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と言われたという出来事が話題に)「新型コロナウイルスの妊婦・母子感染」「出産費用のゼロ」「妊婦への暴力事件」「イクメンのフリだけ夫」(イクメンと言われていた芸能人のスキャンダルなど)などが並びました。
「子育て、しやすい? しにくい?」女子SPA!関係者の声
女子SPA!編集部やその周辺にも、乳幼児を育てている母親たちがいます。最後に、彼女たちの声も紹介しましょう。
「生活のために産後なるべく早く職場に復帰する必要があったので、保育園には何がなんでも入れたいと30か所くらい希望を書いた。そうしたら徒歩25分(バスに間に合えば15分)ほどかかる園に当たってしまい、毎朝しんどい。
都内は保育園の数自体は増えてきたとはいえ、少ないエリアもまだあって、
通園に苦労している親は多いと思う。区によって入りやすさに差があるのも、なんだか不公平感な気がする」
「妊娠前は、都内は駅などのバリアフリー化がとても進んでいる印象だったけれど、いざ出産してベビーカーで外出し始めると、全然まだまだだとわかった。
ベビーカーと一緒の日は、エレベーターを探して歩きまわるのがデフォルト。
1人なら1分もかからない電車の乗り換えに、ベビーカーと一緒だと『駅の外に出ないとエスカレーターがありません』と言われて、15分以上かかったことも。不便すぎるので、ほぼ抱っこ紐しか使わなくなって、おかげで年中肩こりがひどい」
「電車で席を譲ってくれたり、マスク越しに子どもへ笑いかけてくれたりする人たちの優しさに触れて、ありがたいな~とこっそり涙ぐむことも。
東京の人たちは、子育て中の人間に対して意外と温かいと思う。
一方で、妊娠・出産前は気にもしなかったような
『屋外の喫煙所』『夕方に住宅街を歩く酔っぱらい』『車が真横を通過する狭い歩道』などを怖いと感じるようになった。
子どもを連れて歩くと、世の中が全然違って見える。何でも子ども向けに整えてもらうことは難しいと思うが、もう少しなんとかして欲しいと思った時は、ダメ元でも自治体の窓口に相談したりしている」
「うちの夫は職場の“父親育休制度”を使うことができて、3週間の育休をすんなり取れた。
だけど友人の夫さんの職場は
父親の育休取得に反対する人が大半で、1週間の育休を取得しただけでさんざんイヤミを言われて、一部仕事の引き継ぎを拒否され、家で仕事する羽目になったとか。なんのための育休なのか。彼の会社の場合は周囲の理解のなさが原因だったようだが、会社の規模によっては、1人抜けたら仕事が回らないので物理的に(父親の育休取得が)厳しいという職場もあると思う。
まだまだ“父親育休”が浸透するまでの道のりは遠そうだ」
調査名 : 「たまひよ 妊娠・出産白書2021」
期間/エリア/手法 : 2020年10月29日~2020年11月2日 全国、インターネット調査
調査対象者 : 20~39歳で2019年5月~2020年10月に第1子を出産した女性2,060名
※グループ分け:2020年5月~10月に出産(緊急事態宣言解除前後、解除後)/ 2019年11月~2020年4月に出産(通常期・新型コロナウイルス感染症拡大期)/ 2019年5月~10月に出産(通常期)
<文/女子SPA!編集部>