話題のガン闘病漫画、「転んでもタダでは起きるものか!」という思いがあった
「38歳職業エロ漫画家。ある日突然、腹が減る。」と思っていたら、【大腸ガンのステージ4】だった!
BL漫画家の「ひるなま」さん(@daicho_polaris)が、自らの闘病体験を描いた漫画『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸がんになる』(フレックスコミックス)が、2月の発売以来、話題を集め続けています。
現在も闘病を続ける「ひるなま」さんにインタビュー。前後編に分けてお届けします。
【マンガ第1話はこちら】⇒<マンガ>「最近、やたら腹がへる」と思ったら、ステージ4の大腸ガンでした
――『鳥獣戯画』風の愛らしいウサギやカエルたちが目に飛び込み、とても手に取りやすいです。
ひるなまさん(以下、敬称略)「そう言っていただけると嬉しいです。病名が“大腸ガン”ですので、詳しく描くにはどうしても、肛門だのお通じだの吐き気だのを描くことになってしまいます。でも大事なそれを避けたくはなかった。かといって読んだ人を苦しくさせてはいけないので、楽しく読んでもらえるるように生々しさを緩和しようと考えて、こうなりました」
――「プロレス好き」だという「夫」さんの絵柄も可愛らしいですね。漫画で闘病記を描くと決めたとき、「夫」さんの反応はどんなものでしたか?
ひるなま「『この体験を漫画に描きたいので、登場させてもいいか』と聞くと快諾してくれたので、『許容する人物像の描かれ方』『コスチュームはショートタイツでいいのか』など何点か質問と確認をしました。細かい企画内容などの公開前情報は家族にも見せませんが、『体験談はきっと少なからず人の役に立つだろう』と夫は非常に積極的に応援してくれました」
――読み始めると、画力の高さとともに、構成力、物語の力にぐいぐい引っ張られます。描き進めるうえで、「読ませること」へどんな意識を配りましたか?
ひるなま「『病院で聞いた単語をできるだけそのまま使う』ということには気をつけていました。同じガンでお困りの方がこの本を読んだ時、専門用語は平易な言い換えではなくそのままのほうが、いざ病院で聞き慣れない単語に囲まれた時の恐怖や不安を解消するのに役立ていただけるかなと」
――なるほど。確かにそうですね。編集部との話し合いのなかで、変更していった部分はありますか?
ひるなま「編集さんは、“わかりやすさと専門性”のバランスを適切に見てくださる方で、『わかりにくい部分』『注釈がほしい部分』などを指摘してもらいました。その反面、キャラクターの造形や全体の構成などは、ほとんど私の好きにさせてもらえたので、大きな変更は特になかったと思います」

『鳥獣戯画』風のキャラクターにしたワケ

専門用語は平易な言い換えではなく、あえてそのまま
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