「別に日本に限らなくてもいいんですが、コロナ禍で海外での仕事も激減していて……。輸入の仕事もじり貧なので、今は別の仕事をメインにしているんです。そちらでは女性と知り合う機会もなかなかない。
たまたま知り合っても、僕が会社員ではないと知ると、多くの女性は顔を背(そむ)けますね。みんな安定した仕事、安定した収入の男を求めているんでしょう。自分が不安定の極みなので、僕だって安定した収入のある女性とつきあいたいですから(笑)」
とはいえ、彼は「なんとか食べていければいい」という姿勢を今も崩していない。貧乏でも、気の合う女性と楽しくつきあえればいい、と。だが相手がそう思ってくれるかどうかは別の話である。

それに「恋の展開」も予想がつかないと彼は言う。
「知り合って好きになってつきあって……。その先、何があるんでしょうね。結婚? そして子どもが生まれて家族になる? やっぱりそのあたりが納得できないというか現実感がないというか。長くひとりでいすぎたんでしょうね。
かといって、このままずっとひとりで生きていく自信もない。誰かにいてほしい。その気持ちは強くなっている」
2019年の男性の生涯未婚率は23.4%(総務省統計局による)。約4人にひとりの男性は50歳時に未婚なのだ。このままだとリョウスケさんもそうなる可能性が大きい。
「40代の前半はまだまだ30代と同じような気持ちだったんですけどね。45歳を越えて体力的にも衰えを感じてくると、一気に老後への不安が増してしまう。
人生って長いようで短い。ここからどうやって巻き返したらいいか、今はまったくわかりません。堅実とはいえない人生を選んだ僕がいけなかったんでしょうか」
いくつになっても人生の方向転換はできると信じたいが、彼が本気で恋をできるかどうかは彼自身といくばくかの運にかかっているのかもしれない。
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<文/亀山早苗>
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