なぜ3人の育児と医師を両立できるの?米国の子育て事情を内田舞さんに聞く
新型コロナウイルスやワクチンについて、日本でも情報発信をしている米国の医師、内田舞さん(38)。現在、マサチューセッツ総合病院で小児うつ病センター長、ハーバード大学医学部でassistant professorを務めつつ、なんと3児のママでもあります。
前回のインタビューに続き、今回はアメリカでの働き方を聞きました。子どもを3人も育てながら、一体どうやってスーパーキャリアを築けたのでしょうか?
【インタビュー前編を読む】⇒医師で3児のママ・内田舞さん「『ドラえもん』のしずかちゃんがきっかけで渡米しました」
まずは、産時休業、育児休業について。日本とはかなり制度が違うそうです。
「アメリカは国の制度として産休・育休が設定されていなくて、各職場が独自の制度を提示しています。産休・育休が全くない、2週間、4か月…など、色々です(編集部注:州の法律で設定されている場合もある)。
私は、3回の出産で、それぞれ出産直前まで働きました。三男に関しては、入院の数時間前まで勤務しましたね。私の病院では産休・育休が12週間で、仕事に戻る際には3か月児を保育園に預けました。
産休・育休中の給料も、各職場によってさまざまです。給料を出すところもあれば、給料を半分にする、あるいは最初の2週間だけ給料ありであとは無給…などと、各自調整します。このような職場からの補償も、職に就く際に示されて、同意して就職する形です」(内田さん、以下同)
出産で入院する数時間前まで働いていたとは!かなりハードですね。
日本では、女性が産休(産前6週間+産後8週間)を取る権利が、法律で認められています。育休は、男女とも子供が1歳になるまで休む権利があります(ただし雇用形態によって違う)。法律としては、アメリカより日本のほうが手厚いわけです。
ただ、日本では男性が休みを取りにくいのが現実。「育児は父母両方がやるべき」という常識は、アメリカのほうが浸透しているようです。
「出産と乳幼児の育児は、もしパートナーがいれば、カップルで協力してやるものという認識です。
例えば病院の出産セミナーなどは妊婦さんだけではなく、パートナーとの参加が普通ですし、『付き添い』という言葉はなく、少なくともボストン内の病院ではコロナ禍であっても妊婦さんがパートナーと一緒に分娩に向かうことが一般的です。ですから、シングルペアレントは本当に尊敬します!
私の出産時、分娩室にも産後の入院の部屋にも、私の夫が寝られるベッドがあり、食事も二人分出ました。でも入院自体は短くて、三男の時は私の産後の体調が良かったこともあって、出産の翌日に退院して、生後1日の息子と一緒に家に帰りました」
その後の育児でも、少なくとも内田さんの周りでは「母親のワンオペ」など聞いたことがないそうです。
「私が仕事と育児を続けられる一番大きな要因は夫です。お互いの成功を心から願っていて、家事も育児も一緒にやっています」
今年2月には、第三子を妊娠中にコロナワクチンを接種した様子をSNSに投稿。タレントのおのののかさんが8月、SNSで妊娠中のワクチン接種に不安を訴えたのに対して、内田さんがネット上で丁寧に解説をしたことが話題になりました。
内田さんが日本を出てアメリカで医師になったワケを聞いた