一時期の夢はすぐに過ぎ去ります。
「もう今まで通りの生活には戻れなくなりました。仕事に復帰することはできず、その後はパチンコ通い。貯金も0に近く、当時の夫に頼りながら過ごしていました」
夫からの援助を受けていたのも束の間、さらに現実を見ることとなります。
「ある日、夫から突然離婚を切り出されました。私の変わりようにうんざりしたと伝えられ、初めていかにお金に踊らされていたかを知りました」
環境が変わると知らぬ間に人は変わるもの。そして気づいた頃には遅い場合もあるのです。石井さんは、その後夫と離婚。両親の家に居候します。
宝くじに当選した当初は、気前よく接していた石井さんですが、結局所持金は0円に。
「両親からの援助がないと一人で過ごせないことは知っていました。ですが、とても情けなくて仕方ありませんでした」
大金を使い果たし、賭け事に依存。そして離婚した石井さん。地元に帰ることを恐れていました。
「実家は地方の田舎なので、私が戻ると近所の人たちの間で、あることからないことまで、噂が広まりました。子どもなしの訳ありバツイチ女性であると言われたり、散々でした」
そして、1年が経ち、宝くじが当たった年末の時期に突入します。
「年末年始は毎年、年賀状を送っているのですが、私の名字が変わっていることで、離婚したことが周りに完全にバレたと思います。そして、地元に帰った今でも肩身狭く過ごしています」
今では、石井さんはお金を稼ぐため、バイトで少しずつ社会復帰しているそう。夢をもらった見返りに幸せを失ったのでした。
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<文/Honoka Yamasaki イラスト/磋藤にゅすけ>