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外見に悩み鏡が見られなかった漫画家「安めぐみになりたい自分を受け入れてみた」<漫画>

イカダで漂流していた自分が「YOU島」にたどり着けました

――書下ろしエッセイ(4章「5月ひどい落ち込み」)の「『私は太っている』という事実に向き合ったら、安めぐみになりたくなった」いう流れが、いきなり過ぎて爆笑しました(笑) 田房:「今の私は、どういう姿になりたいのか?」って自分に尋ねたら安めぐみさんがボンと浮かんできました。そうですね、自分でも急すぎて「どうした?」って感じでした(笑)。 でも、なれるかなれないかは別として、「安めぐみさんになりたい」という自分の訴えをひとまず受け入れる、という繰り返しが「鏡を見れるようになった」につながったのかなと思います。 いつになったらキレイになるの?(田房永子)――こういう人になりたいという具体的なイメージが沸くのは、前向きになっている証拠ですもんね。4章の書下ろしエッセイは、紆余曲折(うよきょくせつ)ありつつも田房さんがご自身を受け入れていく様子が描かれ、メイクやファッションを楽しんでいてとてもハッピーな雰囲気ですね。 田房:YouTubeのメイク動画をボーッと見てて、やってみようかな、と思って真似してみて、そしたら前髪のボリュームが足りないと分かって、と順を追って「次にやること」が具体的に分かっていったのが、楽しさにつながりました。今まではそもそも鏡を見れないから、どこから手をつけて何を改善すればいいのか分かんなかったんです。 「次にやること」をやっていくと見違えてくるわけで、ある地点でタレントのYOUさんっぽくなったんです。YOUさんそっくりになったわけじゃなくって、YOUさんみたいに「きれいでいようとしてる中年女性」になれた、っていう意味です。 わけもわからずイカダで漂流していた自分が、方位磁石や灯台を頼りにすることを覚えて、「YOU島」にたどり着けました。 YOU島の港に着いたら、今度は自分好みの服とかメイクのジャンルを選んでいいんですよね。自由におしゃれを楽しんでいいっていう土台を、前世代の女性たちが作ってくれたおかげだなって思います。それに今は女性が自虐しなくていい時代。私が子どもの頃は、年齢を隠す女性が多かった。

高齢の女性の裸を見る機会が、お風呂とか銭湯以外にない

――確かに、我々が小さい頃の中年女性はすぐ「もう私なんておばちゃんだから」って言っていた気がします。 田房:40代から50代60代70代になるごとに、第二次性徴期並みに姿が変わっていきますよね。第二次性徴期のことは詳しく教えてくれるけど、第四次変化期とは呼ばないのってへんだなと思います。 海外だとおばあちゃんがビーチで水着で歩いてたりするけど、日本だと自分より高齢の女性の裸を見る機会が、お風呂とか銭湯以外にない。 メディアで見る高齢の女性の体って宮崎美子(※2020年、62歳で水着グラビアを発表)しか見たことないです。40代の私のほうが人に見せられないボディなんですけど…っていう。 スポーツジムのお風呂に入ると、お婆ちゃんたちがいっぱいいるんです。自分より年上の女性の体が自然と視界に入ってきて、じっくり見ることはしないけど、いろいろな体型の人がいてホッとします。それだけでなぜか、自分も年とってもやっていけるなって思えるんですよね。若い頃は銭湯にいってもそんな感覚にはならなかったけど。 ――作中でも「この容姿で生まれてここまで来た自分の運命そのものを肯定したい」と書かれていいましたね。非常にいい言葉だなと思いました。『いつになったらキレイになるの?』で特におすすめの回はありますか? 田房:フィメールラッパーの回(4章「11月欧米エンタメにハマる」)ですね。お尻や太ももが大きいことは別に悪いことじゃないって海外の女性アーティストに教えてもらえました。彼女たちの姿を見る前は、全くそういう風に思えなかった。自分で読み返してみても、やっぱりいいなって。
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自分のやりたいことをやればいい
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