
ダイヤモンド ©M-1グランプリ事務局
<準決勝を配信で拝見しましたが、その時点では「ダイヤモンドが優勝かもしれない」と思いました。そのくらいウケていましたし、わかりやすいうえに、オリジナリティのあるテーマでした。
「女性専用車両」があるがために普通の電車を「男女兼用車両」とわざわざ言うという、新しい言葉の影響を受けて、さらに新しい言葉を作っていく漫才。
言葉遊びの漫才はたくさんありますが、この漫才はそれだけではなく、ちゃんと理由があって言葉遊びをしている。眼鏡がなかったら存在し得なかった「裸眼」という言葉などを例に出し、説得力も申し分ない。
順番の影響か、ちょっとした間のズレだったのか…、内容が本当に面白いので、得点に結びつかなかったのは非常に残念に思いました>
ヨネダ2000 「わけがわからない」けど面白い2つの理由

ヨネダ2000 ©M-1グランプリ事務局
――ヨネダ2000は13年ぶりに決勝進出した女性芸人で、12月10日に行われた「女芸人No.1決定戦 THE W 2022」(日本テレビ)で準優勝したこともあって注目していたのですが、独特な作風のネタでインパクトを残したようにみえます。
<まず「文章での解説をしたくない!」
と、思わせるところがヨネダ2000の最大の魅力だと思います。
審査員のサンドイッチマン富澤たけしさんから、「ランジャタイがいなくてホッとしてたのに~!」という言葉が出ました。確かに、ランジャタイとの共通点を出しながら考えると解説しやすいかもしれません。
とにかく2組の共通点は「わけがわからない」ところですが…、そうなんですが、そこじゃないんです!
2組の共通点、それは、ヨネダ2000の誠さんとランジャタイの国崎さんの、卓越した表現力なんです!>
――てっきり「わけがわからない」発想かと…。
<不条理なセリフと展開でありながら、瞬間瞬間、何をやっているかはきっちりわかる。イギリス人の群衆の演じ分けと感情の変化、餅つきの合いの手、DA PUMPのKENZOさん…。
お笑いで「わけがわからない」ことをやるときに最も重要なのが、お客さんに「わけがわからなくてもいいんだ!」とちゃんと思わせることです。理解をあきらめさせることが大事なんです。
そのために大事になってくるのが、表現力です。
「目の前で起きていることは間違いではない、ということは、わけがわからないことをやっている!」とお客さんにしっかり認識させること。そうすると、お客さんはちゃんと理解をあきらめ、目の前で起きていることを純粋に楽しむことができます。2組の言っている意味をまともに理解しようとしたら、とんでもなくストレスがかかります(笑)>

ランジャタイ ©M-1グランプリ事務局
<そして、もうひとつの共通点は「相方が共犯者」。ヨネダ2000は愛さん、ランジャタイは伊藤さんですね。
相方がツッコミ役として止めてくれると思いきや、実は共犯者。1人がわけをわからないことをやっているのに、もう1人がそんなに止めない。
「あれ? 隣の人、止めないの?」となり、このことが「わけのわからなさ」を加速させています。お客さんに「わけなんか、わからなくていいんだ!」と思わせる一因となっています>
――ランジャタイは残念ながらM-1グランプリは今年がラストイヤーでしたが、ヨネダ2000は2020年結成で2人とも20代。今後も楽しみです。
<しかし、結成2年で本当にすごいですね。THE Wも含めると、テレビでの勝負ネタが計3本、M-1で最終決戦に残ったとしたら4本持っていることになります!
それこそ、わけがわかりません!>