
男性ブランコ ©M-1グランプリ事務局
――今年の決勝には、ロングコートダディ、男性ブランコとコント師が多く、“音符を運ぶ”など想像力を生かしたネタや演技力を披露し、上位に食い込む結果も出しました。
<「ボケ」「ツッコミ」にとらわれない、さまざま漫才があるのは魅力的ですね。コント師に多く見られるのかもしれません。
「とにかく面白い漫才」を競うのがM-1グランプリです。「面白い」という言葉の中には「こんなの見たことない!」という意味も含まれると思うんです。もちろんそれは、奇をてらうだけでは成立せず、共感を得たり、想像させて楽しませたりと、見ている人との接点を保ちながら成立させるアイデアと表現力が必要になってきます。
コント師の面々に限らず、キュウやヨネダ2000も、「ボケ」「ツッコミ」と言い切れない不思議な魅力を醸し出していました。
漫才に限らず、お笑いのネタは「自分が得意なこと」をやるべきです。喋るのが得意な人は喋ればいいし、歌が得意な人は歌えばいいし、得意なことは特にないけど声だけはでかいんだという人はとりあえず大きな声を出せばいい。
そんななか、ロングコートダディと男性ブランコは、漫才の固定概念にとらわれず「自分が得意なこと」をきっちりマイクの前で表現していたことが、高得点につながったのだと思います>

©M-1グランプリ事務局
――これからのM-1グランプリについて予測や期待をお願いします。
<2019年、決勝3位のぺこぱを中心に「人を傷つけない笑い」が主流になる動きが出てきました。
しかし、今年優勝したのは悪口漫才のウエストランド。
人を傷つけない笑いはどこへ行ったのか!?
2020年、マヂカルラブリーの漫才に「漫才か漫才じゃないか論争」が起こりました。
しかし、今年はロングコートダディ、男性ブランコ、ヨネダ2000、キュウといった「ボケ」「ツッコミ」にとらわれない漫才が多数。
マヂカルラブリーに比べたら、もっと漫才じゃない!(全部漫才です)
2021年、錦鯉が優勝したことで、ベテランにスポットが当たりました。
しかし、今年は初出場が5組とフレッシュな顔ぶれであり、ラストイヤーの芸人は決勝に存在せず、ヨネダ2000の誠さんに至っては23歳という若さ。
M-1グランプリの傾向と対策…、正直もうわかりませんね!
逆に言えば、人を傷つけようが傷つけまいが、「ボケ」「ツッコミ」であろうがなかろうが、若かろうが中年であろうが…、どんな漫才でも決勝に進出し、優勝するチャンスがあるということです!
「とにかく面白い漫才」を決める大会なんですから。そりゃそうだろうという話です。
また来年も、こちらが予想もしていないような新たな衝撃を誰かが与えてくれるに違いありません!
若手芸人のみなさんは、いい意味で傾向と対策を考えず「己の信じる道」を行く…、きっと、それがいいでしょう~!>
<文/女子SPA!編集部>