さらに夫がなにげなく口にする一言が、サトコさんをいちいちイラッとさせることも多い。
「たとえばですが、先日、シチューを作ったときのこと。サラダやお味噌汁もあったから箸は出ていたんです。でも先に食べようとした夫が『シチューも箸で食べるの?』と一言。スプーンがないよと言えばいいのに、どうしてそんな嫌らしい言い方をするのか……。思わずスプーンを夫の前に叩きつけてしまいました」
スプーンくらい自分で出せばいいのだ、家族の分も。それが夫にはできない。できないどころか、そういう嫌味な言い方をする。それがサトコさんの傷となる。
「夫は驚いて、冗談だったのにと。『ママ、怒りっぽいよな』と子どもに同意を求めるんです。それもまた私にはイラッとくる。こういうことの繰り返しなんですよね」

サトコさんが怒ったのを夫も感じたのだろう、その日は食後、珍しく「オレが皿を洗うよ」とキッチンに立った。だが皿を洗ったあと、「ふう、疲れた」を連発。あげく、「きみはお礼ひとつ言わないんだね」と言い出した。
「あなた、毎日、ご飯を作ってる私にお礼を言ってる? アイロンかけたシャツを着るとき、誰がアイロンかけたかわかってる? 思わずそう言ってしまったんですよね。すると夫は『だって、家事はきみの仕事でしょ』と。唖然(あぜん)としました。『家庭の一員である以上、あなたの仕事でもあるけど。もういい、わかった』と」
次女が不穏な空気を感じて泣き出したので、その場は言い合うのをやめた。だがそれ以来、夫とは素っ気ないやりとりが続いている。
「夫は自分が悪いとは思っていないから、普段通り。これだけじゃなくて、子どもへの物の言い方にも私は日々、イライラしてる。数日前も長女が学校で男の子と言い争いになったことを話していると、『女の子なんだから、男の子には譲ったほうがいいなあ』と言うんです。
『そういう言い方はやめて』と思わず口を挟みました。男だから女だからという時代じゃないでしょ、と。すると夫は『ほら、ママみたいに怖い女の人になったら困るだろ~』って。離婚、という二文字が頭に浮かんだ瞬間でした」
これからの世の中で、男だから女だからと従来の性役割を押しつけるような子育てはやめようと話し合ったはずなのに。サトコさんは夫に抗議したが、夫は「話の流れでつい。ママみたいに怖い女の人というのは冗談だよ」とあたふたしていた。
夫と作る「家庭」が、娘たちにとって「いい家庭」になるのだろうか。サトコさんは言い知れない不安を抱くようになっている。
【他のエピソードを読む】⇒
「実録!私の人生、泣き笑い」の一覧へ
【あなたの体験談を募集しています!】⇒
心がほっこりした「ちょっといい話」、ありえない!「びっくりした話」「ムカついた話」、人生最悪の恋愛を募集中!(採用時に謝礼あり)ご応募はここをクリック
<文/亀山早苗>