発達障害の人はみんな天才?ドラマ『リエゾン』にみる“発達障害の描き方”の難しさ
1月20日から放送スタートしたドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』(テレビ朝日系、金曜夜11時15分~)。地方にある児童精神科「さやま・こどもクリニック」の院長を勤める佐山卓(山崎育三郎)とADHDの研修医である遠野志保(松本穂香)がメインを務める、発達障害を抱える子どもやその家族の成長や葛藤を描いたヒューマンドラマだ。
第1話の放送からすでに大きな感動を呼んでいるが、やはり“発達障害”というセンシティブなテーマを扱っているからなのか、モヤっとさせられるシーンも見受けられた。27日放送の2話を前に、1話を見ての感想を記す。
1話ではASD(自閉スペクトラム症)を抱える8歳児の涼太(川原瑛都)が登場する。涼太は絵が得意で、見事な色使いの絵を描く。ただ、涼太はコミュニケーションに難があるため、母親の雪枝(星野真里)が佐山(山崎)に相談するシーンがある。その中で気になる発言が出た。
ただ、この言葉は「発達障害=天才、ギフテッド」という認識を広めてしまわないだろうか。実際、ドラマや漫画で発達障害の人は天才、何かしらの秀でた能力がある、といった描かれ方をするケースは珍しくない。確かに発達障害児の中には秀でた能力を持つ人もいるが、反対にそうでない人もいる。これでは発達障害を持つ人についての認識を歪ませてしまう可能性がある。さらには、「発達障害なのに秀でた能力を持っていない」と、当事者やその家族にも劣等感を与えかねない。
発達障害の人はみんな、才能のある天才?
涼太の絵を見た看護師・川島雅紀(戸塚純貴)が「それにしても素晴らしい絵ですね」「涼太くんは金の卵かもしれませんね」と口にしたのだ。雅紀に他意はなく、むしろ雪枝に寄り添った言葉であり、雅紀にツッコむのはクレーマーと思われても仕方ないかもしれない。
当事者やその家族に劣等感を与えはしないか
とはいえ、他に登場する発達障害児は秀でた能力を持っていない、もしくは明らかになっていなかった。発達障害の有無に関係なく涼太がたまたま絵が上手だっただけであり、「発達障害は全員天才と解釈するかもしれないだろ!」と声を荒げるのは横暴でしかないのかもしれない。それでも、“金の卵”という強い言葉を使うことにはどうしても違和感を覚えた。
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