「昇進してプレッシャーがすごかったのと、そのころ異動してきた上司との関係がよくなかったみたいです。夫が忙しいのはわかっていたので、実家の助けを借りながら、私は仕事と子育てに必死でした。ふと気づいたら、家にお酒の瓶が増え、夫が朝からラッパ飲みしていた。このままでいいはずがないと思い、
夫に『病院に行こう』と言ったけど聞く耳を持たなかったんです」

誰に相談したらいいかもわからない。地元の役所に相談に行ったが、本人に来てもらわないとどうにもならないと言われた。夫の上司に言おうかと考えたものの、夫の立場が悪くなったらかわいそうだと躊躇(ちゅうちょ)した。
「あるとき夫が酔っ払って公共の物を壊して、警察につかまったんです。弁償ですんだんですが、警察の方に『このままではまずいから病院につれていきなさい』と言われて。夫自身、翌朝から起きなくなって『もうだめだ』と苦しんでいる。有休をとって病院につれていきました。
そこから専門病院を紹介されて入院したんです」

とにかくアルコールをやめなければいけない。ゆるやかに開放された病院だったため、夫はたびたび禁を犯して飲んでしまう。そのうち、見舞いに行ったアズサさんに暴言を吐くようになった。
「
結婚が失敗だった、おまえがオレをこんなふうにした、と。医師によれば気持ちが不安定だということで……。その後、お酒はやめられたので退院したんですが、今度は家で鬱々としている。あんなに明るくて前向きだった人なのに。なかなか合う薬が見つからなかったのも彼にとってはよくなかったみたいです」