自室にこもる夫が不気味だった。そのうち夜中にキッチンで隠してあるお酒を見つけ出して飲み始めた。目が据わった夫に「
おまえの顔なんか見たくない」と言われたこともある。
「自制が効かなくなっている感じでした。本人もつらかったんだと思うけど、このままでは娘にもよくない。夫の両親に連絡しましたが、うちではめんどうを見切れないと言われました。医師とも相談の上、再入院。その間に、
私は自宅の賃貸マンションを解約し、実家に戻りました。夫を見捨てたんです」

さらにその後、さまざまな事情があって両親は実家を売却。彼女は今、両親と娘との4人で実家から遠く離れた場所に住んでいる。夫とは離婚も成立した。
「離婚が成立したとき、夫は『
オレはすべてから見放されたんだな』と自嘲(じちょう)的に言っていました。それがすごく心に残っています。夫を支えきれなかったのは私の一生の負い目になると感じていますね。でもその後、夫もなんとか立ち直って、今は仲間とともにシェアハウスで暮らしているそうです。それを聞いたときはホッとしました」
夫を見放したことに彼女は大きな罪悪感を抱いているが、あのまま生活を続けていくことはできなかったのだ。苦渋の選択だったはず。この件で、「夫がかわいそう」と友人から非難されたこともあるそうだが、自身と子どものことを優先させた彼女を誰も批判などできないのではないだろうか。
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<文/亀山早苗>
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