かけがえのない友人を一瞬にして敵にしてしまった言葉

「(ため息をついて)どうやって報告書を作成したらいいかわからないんだ」
「たしかに、君は報告書さえうまくつくれるようになれれば完璧なのにな」
「……」
「まあ、仕方ないさ。ほかの部署に移ることも考えてみたら?」
同僚の顔を見ると、心から心配してくれているようだ。しかし、その言葉を聞いたあなたはどう思うだろう?
「ああ、さすがに僕の友達だ!」と感謝する気持ちになれるだろうか? いや、そうはならない。正反対の気持ちになるはずだ。
「なんだよ、自分はどれだけうまく報告書をつくるっていうんだ。僕とほとんど変わらないくせに」
そう、その同僚はしくじったのだ。かけがえのない友人を一瞬にして敵にしてしまった。どうしてこんなことになったのだろう?
弱点を突くような言い方は相手のプライドを傷つけてしまう
理由は簡単だ。誰かの弱点を突くような言い方は、たとえそれが真実だったとしても相手のプライドを傷つけてしまうのだ。
相手は自分の弱点について共感されたというだけで、自分が攻撃されているように感じる。
そのことがわからず、率直に言うのがよいことだと勘違いして相手の弱点に強く共感する姿勢は、会話を断ち切り、相手との関係をも終わらせてしまう。さらには相手が弱点を克服して成長する邪魔をしてしまう。
それは、ほとんど光の入らない真っ暗なトンネルの中に立っている人に光を与えるどころか、今にも消えそうなろうそくの火を消してしまうようなものだ。