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松本穂香「あまりに素晴らしく、苦しい」心を揺さぶられた“大人のラブストーリー”

 数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが、24年間すれ違った運命の相手との再会を描いたラブストーリー『パストライブス/再会』について語ります。
銀幕ロンリーガール/松本穂香

松本穂香さん

人生の美しさに溢れたストーリー

パスト ライブス/再会

映画『パスト ライブス/再会』より(以下同)

 今回、わたしがご紹介させていただく映画は『パストライブス/再会』です。  あまりに素晴らしく、苦しい映画でした。今まで失くしたものや、その苦しみが押し寄せてくるような感覚。月並みな言葉では言い表せられないほど、この映画に感情移入し、影響を受けました。  大きくはラブストーリーでありながら、描かれているものは生きる上での本質みたいなもの。  もちろんそんなものは誰にもわからないものだけど、たとえば、瞳と瞳が交わされるときの温度だったり、空白の静かな時間、会いたいと無性に思える心や、苦しくて仕方なくて涙が溢れる瞬間だったり。そうした生きる上で大切な時間がこの物語のなかに、そっと優しく描かれていて、観終えたあとに残るものがとても豊かで温かいものでした。  そんな時間がないと、人は生きている意味を失くしてしまうのかもしれない。人と人が関わる意味みたいな、根本の美しさをこの映画から感じ取ることができたような気がします。

私たちは「縁」にいつも救われている

パスト ライブス/再会 作中に何度も登場する「縁」という言葉や、前世や来世という曖昧で信じきれないものたちにきっと私たちはいつも救われているんだなと改めて感じさせられました。  登場人物たちの感情はハッキリとはセリフに乗せられていないけれど、ものすごくピュアなもの。それもたぶん、曖昧ゆえのピュアさみたいなものかもしれなくて……だからこそ、観ているこちらもいつの間にか自分の中にある何かを重ねて、一緒になって感じることができたのかもしれません。特にラストシーンは私にとって忘れられないワンシーンになりました。  これからも「ご縁」を大切に。悲しいこともあるけれど、何かに繋がっていると信じて、曖昧でもいいから生きていこう。そう強く思える素晴らしい映画でした。  ぜひぜひ、大切な方と一緒に映画館でご覧ください! <文/松本穂香> ●『パストライブス/再会』 配給/ハピネットファントム・スタジオ TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開中 Copyright 2022 © Twenty Years Rights LLC. All Rights Reserved
松本穂香
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。2024年10月期月9ドラマ『嘘解きレトリック』では鈴鹿央士とともにW主演を務めた
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