
今回は一条天皇(塩野瑛久)が苦悩する。次の関白を誰にするか、ついてだ。
民のため、そして内裏の分裂を防ぎたい。公卿たちの話にも耳を澄ませる。そこでまずは道兼を関白とするが、次は伊周に、と考える。
妻は伊周の妹・定子(高畑充希)だ。定子の兄を関白にしてやりたいという想いもある。が、そこに待ったをかけたのは自身の母・詮子(吉田羊)だった。天皇が自分の信じた政をできるように、そのためには道長(柄本佑)を関白に、と泣きながら訴える。
母と妻の板挟みである。
詮子と定子は互いに良い印象はないようだが、一条天皇はどちらも愛しているのでは、と思う。ただ、一条天皇は視野の広い人でもあるのでは。自分の想いだけで決めれば伊周だ。しかし、すべてを見渡せば……。
唯一の救いは定子と一条天皇が想い合っているということ。ふたりかせ寄り添うシーンがとても美しく、印象的だ。

道兼が関白に決まったときも、道長に内覧宣旨を下したときも、伊周は定子につらく当たり、責め立てた。「そういうところだよ……」と言いたくもなる。なんのために天皇のそばにいるのか、早く皇子を産め、と責める。それしかできることはない、と。
怒りだけではないであろう、さまざまな感情を飲み込むような定子の表情。それを見つめる清少納言(ファーストサマーウイカ)の苦しげな表情。観ながら拳を固めてしまったが、そういう人だから人望がないなどと言われるのでは、とも思う。
そして定子のそばに清少納言がいてくれてよかった。