「人殺し、汚れ役から変わろうとしていたのに……」道兼の切なすぎる最期に心打たれる視聴者が続出した理由|「光る君へ」第18回
あの人、人気がないんだ……
そんな清少納言が愚痴りに行くのはまひろである。
次の関白は誰になるのか、という話ばかりで嫌になっちゃう、と清少納言。その中で道長の名前が出てきたものだから、まひろはつい動揺してしまう。道長についての評判を聞くと「細かいことにうるさい、ぜいたくを許さない、そもそも偉くなる気もない」ついでに「公卿にも女官にも人気がない」。そして「やっぱりありえませんわね」ときっぱり。
清少納言が帰ったあとの「あの人、人気がないんだ……」と思うまひろの背中がいい。どういう顔をして考えているのか、想像できるのがいい。
ただ、細かいことにうるさいのも、ぜいたくを許さないのも、いじわるではなく、政のため。それもきっとまひろは分かっている。
まひろはそんな道長とあの廃屋で偶然、会ってしまう。
「昔の己に会いにきたのね」「でも今は語る言葉は何もない」
そんな、直秀が見ていたら「帰るのかよ」ってツッコんでしまうのではないか。
道長は、まひろの姿を認識して近づいたのだから、何かしらの言葉を交わそうと期待したのでは? いや、目と目を合わせるだけでもいろいろと通じ合ったのか、それとも、「今」の自分を見てほしかったのか、元気な姿を確認したかったのか……。
と、ワンシーンでいろいろな想像をさせてくれるのが、やはりたまらない。
<文/ふくだりょうこ>ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ


