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小池都政8年間の“最大の問題点”。7つのゼロ未達成、謎の東京アラートよりも注目すべきは

 2024年6月20日に告示され、7月7日に投開票が行われる東京都知事選挙。
2020年東京都知事選の選挙ポスター掲示板

2020年東京都知事選の選挙ポスター掲示板

 2016年より8年間、東京都知事を務めている現職の小池百合子氏の近日中の立候補が予想される中、5月27日には立憲民主党・蓮舫参院議員が出馬を表明し、さらに注目を集めている。  コロナ対策、「7つのゼロ」未達成、朝鮮人虐殺の追悼文不送付、学歴詐称疑惑……これまでの小池都政はどのようなものだったか。  ヒップホップから政治コメンテイター、言論人としてマルチな活躍をしているラッパーのダースレイダー氏(@DARTHREIDER)が、解説する(以下、ダースレイダー氏の寄稿)。

「女同士の戦い」という“煽り文句”への違和感

ダースレイダー氏

ダースレイダー氏

 2024年7月7日に投開票される都知事選に、現職の小池百合子都知事が出馬するといわれています。5月29日に出馬表明するのではないかという憶測記事が出たのですが、現時点では出馬はしていません。  しかし、こうした出馬の意向云々という記事が出る時点で、選挙戦は始まっています。小池百合子さんという人は、こうしたメディア戦略のセンスはとても巧みだと思います。ただ、そんな小池都知事も、今回の蓮舫さんの出馬表明には驚いたのではないかと思います。  現職の小池都知事の対抗馬に蓮舫さんという大物政治家が出てきたことで、「女同士の戦い」的な煽り文句をする記事がたくさん出ているし、今後も続くと思いますが、これには違和感があります。  選挙の報道で「男同士の戦い」という表記はほぼ見られません。もちろんそれが前提だと思われているから、女性対決というものにスポットライトが当たる形になる。ただ、少なくとも小池さんに関してはすでに都知事を2期務めていることもあり、女性対決だとか男女対決だとかっていう見立てにはあまり意味がないと僕は思います。  この記事もそうですが、選挙戦に関しての報道がどこに着目しているか? を見るのも面白いと思います。選挙というのは人を選ぶものですから、政策だけを見ることではもちろんなく、所作、振る舞い含めて評価されていくのだろうと思います。

当選を目指さない候補者も

 そんな都知事選には現在30名ほどの立候補予定者がいるとされています。「NHKから国民を守る党」は都知事選に新人13人を擁立すると発表しているほか、前々回の都知事選に出馬していた元航空幕僚長の田母神俊雄さんや、タレントの清水国明さんといった方々の出馬表明もあります。  実は都知事選は前回も非常に候補者が多く、“選挙祭り”としては見どころがたくさんある選挙になりました。権限の大きさや執行する予算が非常に大きい東京都は、特殊な地方自治体です。都知事選は、人口の多さもそうですが首都機能、および企業の本社等も集中している場所で、23区、市町村、諸島部含めて幅の広い自治体のトップを争う選挙になるわけです。  そういった特色もあるため、注目度は大きい。注目されるということは、たとえここで落選したとしても、自身の政策だったり、政治スタンスを有権者にアピールする場として有効です。本来、選挙は民主主義における僕たちの代理人を選ぶための手段ですが、都知事選は国政選挙レベルの注目が集まり、たくさん報道もされます。当選した候補は、他候補の政策であっても都民のためになると思ったならば、自分が都政に関わる際に参考にしても良いと思います。その意味では選挙は政策の見本市ともいえます。 「当選を目標とせずに立候補するなんて」という正面からの物言いはさておき、立候補者が自身の政治スタンスを発表する場として使うならまだしも、単純に注目を浴びることで、X投稿のインプレッションを上げる、YouTubeの再生数を上げる、いいねの数を増やすといった、政治活動ではない意味で支持者を固めたいという目的にも、適してしまいます。このあたりをどう裁くかは、僕ら有権者にかかっていると思います。 「選挙はお祭り」「選挙ゲーム」といったいろいろな表現がありますが、主催者は僕たち有権者です。僕たちの代表を選ぶための場所なので、都知事選をさまざまな理由で利用する候補者の思惑に対しての審判を下すのは、われわれ有権者であるという意識を改めて強くしたいところです。
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3密、ソーシャルディスタンス…小池都政のコロナ対策とは
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僕はラッパーなので声が大きい。「不意の病気によって社会から弾き出されてもなかなか声を上げられない人の声を、力を借りて物申していこう」と決意した。
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