婚約破棄、ハーバード大での屈辱…“王道エリート人生”から挫折した山口真由(41歳)の現在「子育ては常に綱渡りのような状態です」
法学者であり、コメンテーターとしても活躍中の山口真由さん(41歳)。東大首席卒業→財務省官僚→弁護士→ハーバード大学留学という輝かしい経歴を持ちながらも、「自分を天才とは思わない」といいます。
山口さんが初の著書『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』を出版してから10年、山口さんはハーバード大学への留学やテレビ出演を通じてキャリアを積んできましたが、一方で仕事の失敗や婚約破棄など多くの挫折も経験してきたのだとか。
今回は、この10年での山口さんのライフスタイルや心境の変化、そして働く女性への貴重なアドバイスを聞きました。
――40代をむかえ、山口さんにとって大きく変わったことは何ですか?
山口真由(以下、山口):以前は「業界でバリバリ活躍しているキャリアウーマン」「30歳までに結婚しなければ」「30代前半には結婚して子どももいる」という漠然とした将来のビジョンがあり、それ以外の人生については考えたこともありませんでした。
10年前、私は弁護士事務所に勤めていて、いわゆる王道のエリート人生を歩むつもりでいましたが、うまくいかずに初めて挫折を経験しました。そのとき、エリート人生から撤退しようと2つの方法を思いついたんです。それは、留学と結婚です。
つまり「日本で大きな期待を背負いつつ、留学で広い世界に飛び出して価値観が大きく変わりました。帰国後は結婚して、家庭を優先します」といったパターンです。しかし、そんな期待もむなしく、留学中にパートナーから婚約破棄されてしまいました。
ただ、留学前に本を発売したことでメディアへの出演が増え、その後も継続的に著書を出版することができました。
帰国後は大学で教えたり、コメンテーターの仕事をしたりと、私の人生は大きく変わりましたね。酸いも甘いも経験したことで「人は何をしても生きていけるんだな」と気づきました。
――ちなみに、留学時にはどんなことがあったのですか?
山口:アメリカでは英語がまったく通じず、周りからは「透明人間」のように扱われていました。例えば「アンブレラ」と言っても誰も傘を貸してくれなかったりして、諸々のストレスで血尿が出たこともありました……。医療費が高くて病院にも行けず、本当に苦しかったです。
食生活も、お菓子とインスタントラーメンのような安い食べ物でやり過ごしていたので、体調もよくありませんでした。学校でも英語を話そうとすると「I’m sorry」と言われ、授業中に英語を話せたことが一度もありませんでした。
ですが、現在の専門である「家族法」と出合ったことで、初めて英語で話したいと思うようになりました。文献を読み込み、レポートを提出した際、先生から「エクセレント」と評価され、「ここにいていいんだ」と感じたことを今でも鮮明に覚えています。
それまでは「勉強してるね」と言われることにコンプレックスを感じていましたが、家族法の授業をきっかけに、私は「読む」ことが得意だと再認識でき、自信につながりました。帰国後も、東京大学の博士課程でひたすら読むことに集中していました。
――帰国後、信州大学の特任教授を務めたり、ワイドショーのコメンテーターをしたりと活躍していますよね。
山口:どちらの役割も、読書を基盤にキャリアを築いてきたと感じています。以前は自分を落ちこぼれだと思っていましたが、今ではまったくそうは感じません。「私は自分の道を歩めばいい」と思えるようになりました。





