
ところが、翌朝になっても茶太郎くんは玄関の隅にいるまま。庭のウッドデッキに乗って母猫を探すような声を上げながら、飼い主さん宅から離れる様子はありませんでした。
近所に聞き込みをすると、「4匹の子猫を産んだ母猫の姿を最近見なくなったので、置いて行かれたのかも」という証言が……。そこで、飼い主さんは同居中の彼と話し合い、ひとまず動物病院へ連れて行くことにしました。
当時、茶太郎くんの顔には点々とした黒い汚れがあり、目はグチョグショ。動物病院では猫風邪を患っていると言われ、点眼薬や点鼻薬を処方されました。
「ノミ・ダニ予防薬の塗布もしてもらいました。お風呂に入れてあげてと言われたものの、入れ方がわからないと伝えたら、病院で体を洗ってもらえました」
シャンプー後、茶太郎くんは顔にあった黒い汚れが取れ、毛色もツヤツヤに。見違えるほどの姿に飼い主さんは、「あなたこんなにかわいかったのね~!」と胸キュン。

加えて、獣医から「飼いやすい子」とのお墨付きをもらったこともあり、茶太郎くんを家族として迎え入れることにしました。
「犬派だった自分が、まさか猫を飼うなんて信じられませんでした。
猫とまともに触れ合ったことがなく、知識もなければマイナスな先入観を持っていました。そのため、ケージを組み立てながら『勢いでお迎えして本当によかったのだろうか』と思っていました」

お迎え4日目
しかし、飼い主さんの不安などつゆとも知らない茶太郎くんは、お迎え当初から膝に乗って寝てしまうほど、べったり。かわいく甘える姿を見て、飼い主さんは自身の中にあった猫への偏見が覆されていったのだとか。
小さな命がより愛しくなり、部屋の片づけを徹底。電気コードには保護カバーをするなど、茶太郎くんが安全に過ごせるように環境を整備し始めました。
「もともと人慣れはしていましたが、ネットで情報収集をし、大きな音を立てない、適切な距離感を大切にすることなども心がけるようにしました」

すると茶太郎くんは、好奇心旺盛で色々なものに興味を持つ猫にすくすくと成長。今では台所で作業している飼い主さんの肩へ飛び乗り、手元を観察しに来ることもあるそうです。

「一緒に住んでいる彼と私が別室でお喋りをしていると、ドアの前で『ボクも仲間に入れてよ』と鳴くこともあります」