――構成作家である大輪さんから見ても、今の時代はお笑いをやるために大学に行くのは良いルートだと思いますか?
<個人的にはオススメです。何故なら、やっている途中で就職とお笑いとを選ぶことができるから。高校から直で養成所に入って退路を断つやり方ももちろんアリですが、今は価値観が変わってきてますからね>

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――具体的にはどのあたりがオススメなのでしょう。
<事務所の養成所と違って、大学は自由ですからね。やりたいことが一番尊重される世界ですから。
専門の講師に習うことは、実は個性を消してしまう一面もあります。養成所の講師をやっている自分が言うのもどうかと思いますが(笑)。
それに大学お笑いの人たちは、ネタ見せの時にも自分たちのやりたいことや方向性をダメ出しの時間に言語化して作家とコミュニケーションできると実感しています。また、彼らにとって、お笑い=賞レース。もともと受験勉強で傾向と対策を練ることを得意としているうえに、それがナチュラルな感覚なので、成長が早いんですよ>
――昔は芸人でも俳優でも、スポーツで強かった子は成長が早いと言われてきましたよね。
<それが受験に変わってきたのかな。本音を言えば、お笑いくらいアホの子に残しておいてよ~と思いますけど(笑)>
「あるある」ネタの増加の背景には人を傷つけない社会
――今回の友田オレの優勝も、その流れの中にあった、と。
<令和ロマンもそうでしたが、彼らは「やってる人がいないなら、やってみよう」という差別化の判断が上手いんですよね。お笑いがやりたいということに加え、そっちの欲求のエネルギーも大きいような気がします。
そんななか、友田オレの1本目の演歌歌手のキャラは、大学お笑いの感覚の中にはあまりないものだと思います。あれをやったことで、きっと彼は同世代からさらにリスペクトされると思います>
――決勝の最終決戦は全員がフリップあるあるネタでしたね。
<厳密には友田オレのネタは「あるある」と言えるかどうかは難しいところですが(笑)、これには社会の影響を感じましたね。人を傷つけない、コンプライアンスに縛られた中で「あるある」が生き残った結果だと思います。だからこそ、エッジの効いたものは評価されづらい世界になりました。
でも、ギリギリ伝わるか、伝わらないかのネタを披露してウケた時の快感って凄いんですよ。今回の最終決戦でいえば、友田オレが最もその賭けに大きく出て勝利したのだと思います>