――アライになるためにできることは何でしょうか?
アミアさん:まず最初に、SNS上で助けを求めている人とつながることです。ここでいう「つながる」というのは、その人に直接会う必要はなく、電話やメッセージで話を聞くなど、自分にできる範囲で支えてあげることです。
同じ経験をしている人でなければ、相手のことを理解するのは難しいですが、寄り添うことはできます。私自身、「悩んでいいんだよ」とか「泣いてもいいんだよ」と言ってもらえるだけで助けられました。
なので、同じ経験をしていなくてもどこかで悩んでいる人がいたら話を聞いてあげてください。そして、悩んでいる人は、寄り添って話を聞いてくれる人が見つかるまで、諦めないでください。
――実際にアミアさんが行動に移してやっていたことはありますか?
アミアさん:とあるママさんコミュニティのなかで、「◯◯がほしいです」という若者たちの要望に応える活動をしていました。この◯◯というのは、ものではなく気持ちです。スーパーなどで買えるようなちょっとしたお菓子に「あなたのことを想っています」といったメッセージを添えて送っていました。なかには、「電話相手がほしい」「今つらいから、今日起きた出来事を話したい」という人もいます。
――本書ではアライを「共犯者」という言葉で表現されていました。
アミアさん:ここでいう「共犯者」は、決して罪を犯しましょうと言っているのではなく、「当事者と一緒になって、もっと大きくてダイナミックな行動を共にできる人」「当事者に寄り添って、もっとレベルの高い、もっと真剣に行動できる人」のことを指します。とても覚悟のいることだと感じる人もいるかもしれませんが、私は「当事者にとって支えが必要なときに後ろから現れる人」くらいの認識でいいと思っています。
その人のニーズに合わせてしか支えることはできないので、何が必要かがわかった時点で、できる範囲で行動するのが大切です。身近な人にクッキーをあげるだけでもいい。当事者が「誰かが自分のことを想ってくれている」「私は忘れられていないんだ」と思えることが、その人の生きがいにつながるのです。
<取材・文/Honoka Yamasaki 撮影/市村円香>