朝起きてこなければ「まずい食事」を出すアドバイスも

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子どもの自己肯定感を上げるための褒め方や、子どもからの反発に対処する助言は周到だった一方で、やり取りの中でスダチの手法が度を越していると感じることもあったという。
「当初、子どもが約束の時間までに起きてこなければ、『起きないとお母さん夕飯食べられないよ』と子どもに言って、私は夕飯を抜くふりをするように言われました。そうして罪悪感を与えることで起床させる計画でした。ただ、それでも子どもが従わなかったため再度相談したところ、味つけをしていない食事を出すよう提案されました。ドレッシングのかかっていないサラダや、青汁や水でふやかしただけのオートミールなど、美味しくない献立を“健康食”として与えて起床を促すという方法でした。
スダチからは『ポイントは欲を満たさず腹を満たすこと』『あらかじめ調味料やドレッシングは隠しておくという下準備が必要になる』と説明されました。私自身はどうしても賛同できず、子どもがあまりにもかわいそうなので実行しませんでした」(秋元さん)
「結果的に短期間で再登校したが…」利用者に残る後悔とは
結果的に、秋元さんの息子は再び学校に行き始めたものの、スダチに同意できない側面は残る。
「スダチでは娯楽に関して厳しい制限があり、再登校するまでは触れさせないようにと強く指示されました。しかし、我が家ではこの方針に全面的には従わず、日中(9〜16時)のみ制限し、それ以外の時間帯は娯楽に触れてよいという形で折り合いをつけました。理由は、それに従うと親子関係に悪影響が出ると判断したからです。スダチによれば『娯楽を与えると再登校までの期間が延びる』とのことでしたが、あまりにも子どもの気持ちを無視したやり方だと感じました。
うちの場合は短期間で再登校しましたが、やり方が強引だったと悔やんでいます。本来であれば納得いくまで本人が休息して、医療機関でカウンセリングを受けて、学力を補ってから再登校させるといった段階を踏むべきでした。息子は軽く発達の問題を抱えており、今でも人間関係や学業に苦手意識を感じています。急ピッチで再登校に向かわせてしまったことで、根本にある発達や学力の問題を先延ばしにしてしまったと後悔しています」(秋元さん)

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同様に、2023年にスダチを利用した木戸さん(仮名)は、夫の反対を押し切って申し込みを決断した。中学まで成績優秀で皆勤だった娘が、受験した進学校では勉強についていけず、その挫折感から不登校に陥ってしまったという。
1か月半のサポートの契約を結んで以降、欠席した日はテレビやスマホの娯楽を一切使わせないこと、子どもを1日10回褒めることなど、スダチの指示のもと決められたプログラムに取り組んだ。
サポート期間を振り返り、木戸さんは「私自身の負担がとても大きかった」と振り返る。
「まず、子どもを毎日10回褒めるために、朝から晩まで娘の行動を追うのが大変でした。加えて、例えばテストで悪い点を取ってネガティブな発言をしたときに、『わからなかったことが復習できて良かったじゃん』といったポジティブな声がけをするよう求められたのですが、機転の利かせ方も気を張りすぎてしんどかった。特にウチは高校生だったので、褒めても心から響いているのかわかりづらくて。後でスダチに報告をしなくてはならないので、反応を逐一確認するのも神経を使いました。
それから、子どもにデジタル制限を課すため、私自身もデジタル機器を断つよう求められました。当時リモートワークでパソコンを使っていたのですが、娘に隠れて仕事をするのは現実的に難しく、退職しました。スダチのプログラムは私自身の精神的負担がとても大きく、すべて言われた通りに実施するには相当な覚悟が必要だと感じました」