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子どもに「まずい食事」出す指導も。炎上した不登校支援サービス、利用した親が明かす“驚きの実態”。医師も問題視。代表を直撃すると

スダチ代表・小川涼太郎氏を取材

株式会社スダチ代表取締役・小川涼太郎氏

株式会社スダチ代表取締役・小川涼太郎氏

 これらの取材を経て、女子SPA!編集部ではスダチ代表の小川涼太郎氏へ事実確認などを含めて質問を送付した。  すると「記事の経緯や取材主旨を理解した上で回答したい」旨の返答があり、後日、編集部に小川氏、スダチ顧問のカウンセラー・江崎英子氏、また元利用者であり現在スダチの運営に携わる女性の計3名が来訪し、担当編集者より取材経緯の説明などを行った。小川氏、江崎氏からはスダチの理念についての説明があった。  ここから紹介するのはその面会後、メールにて小川氏より改めて説明・回答を得た内容である(※文量が多いため、編集部にて要点を整理し再構成・要約をした。なお、できる限り原文を活かし、原文の意図を損なわないよう配慮している)。

「デジタル機器の制限」の根拠について

 スダチは利用者への説明資料で、デジタル機器の利用における「前頭前野の機能低下」を「もっとも注意していただきたい弊害」として紹介している。資料には「スマホやゲームを利用している間は脳の前頭前野がほとんど機能していないことがわかっている」とある。  デジタル制限の意図について小川氏に聞くと、下記4つの項目を提示された。 「・生活リズムを整える ・家族のコミュニケーション時間の創出 ・これからについて考える時間を作る(前頭前野と関係) ・暴言や暴力を抑える(前頭前野と関係)」 (※上記項目はメール原文ママ。各項目の説明文は割愛している)  しかしながら、デジタル機器の利用による前頭前野への影響については専門家の間でも見解が分かれており、科学的なコンセンサスはまだ形成されていない現状がある。  小川氏は次のように付け加える。 「前提として、スダチでは『やるべきこと(事前に伝えているルール)をやってからやりたいことをやろう』という考え方をベースに、家庭のルールを決めています。ですのでもちろん、やるべきことをやった上でデジタル機器の使用をすることはまったく問題ないと考えています。 ルールが継続的に守れていた場合、親御さんとお子さんで話し合いの場を設け、デジタル使用時間も含めて民主的にルールの変更について話し合っていただきます。 逆に、やるべきことができていなかった場合は、約束通りデジタル機器は一部の連絡等を除いて使用できない(もしくは一定時間しか使えない)環境をつくっていただきます。そしてこのルールを守ることを強制することはなく、ルールを守るかどうかはお子さんの判断に委ねています」  スダチは「やるべきこと」を「心身共に健やかに成長していくために必要なこと(生活リズム、学びなど)」と定義しているとのこと。  また、「事前の打ち合わせのもと、デジタル制限を行わないケース」もあるという。 「精神疾患の傾向があるお子さん、自傷行為や自殺企図などがあるケースは、精神科医監修のチェックリストに則り、デジタル機器の制限はしておりません。 夏休みなどの長期休みや、ご家庭の状況に合わせて、一定時間のデジタル使用を前提としたルールを設定する場合もあります。友達とのコミュニケーションやタブレット学習など、必要に応じてデジタル機器の使用は認めていますので、完全に制限しているわけではないことをご理解ください。また、急な制限ではなく、一定の制限までの調整期間を設けた上で実施しております。長いケースであれば、1〜2ヶ月間の調整期間を設けています」

「包丁や靴を隠す」「窓のロック」を依頼するケースについて

 包丁や靴を隠すように依頼するケースについて、小川氏は下記のように説明する。 「親御様に対して暴言や暴力がある場合は、万が一に備え、刃物類の撤去や、凶器となるものなどを念のために隠すようにお願いしています。また、スダチへご相談いただく前から自傷行為をしているお子様も多いため、包丁を始め、カッターやハサミなど、自傷行為に使う可能性があるものを隠すようお願いする場合がございます。また、自傷行為のリスクが高いお子様には、デジタル制限など、お子様が反発する可能性が高い提案はしないようにしております。 なお、スダチへ相談する前に、刃物類を持って突発的な行動を起こしたことがある場合は、我々の対応範囲外と判断し、医療機関または警察や児童相談所に相談するようお伝えし、サービスをお断りするケースもございます。 またサポート中であっても、このようなアドバイスをせざるを得ない状況になった時点で、親御様と面談の機会を設け、意思確認を行い、今後の方針についてすり合わせするようにしております。状況に応じて第三者機関への相談を推奨する場合がございますことも事前に重要事項説明書で説明の上、親御様にはご同意いただいております。 『靴を隠す』に関しても上述の通り、突発的に家を飛び出しそうだと想定できる場合に予防として提案させていただいている内容となります。家出の不安がないご家庭に、予防以外の用途でご提案することはございません。 スダチは、お子様の命と心身の健康を親御様とともに守ることを何より最優先にしており、健全な親子関係の構築を常に念頭に置いております。そのためにも、命や心身の健康に関わりかねないリスクは回避するよう、また予防対策の手立ては尽くすよう最大限配慮し、親子様に寄り添ってサポートしております」  なお「窓のロック」の依頼についてはメールの記録が残っておらず、実施したかは不明だが口頭で伝えた可能性は否定できないとのことだった。
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親が「食事を抜くふり」をする指導について
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