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「孤独のグルメ」ブームから“おうちごはん”系へ。グルメドラマの主流が変化したちょっと寂しい裏事情

ドラマは圧倒的にInstagramよりコスパが悪い

「もともと、とりあげたくなるような名店はワンオペや家族経営など少人数で回していることも多いので『お客様が増えても困る』と、断られることが多いんです。しかも、ドラマ撮影は1日~2日がかり。交渉によりますが、店をお休みにできない、従業員を確保できないなどの理由から撮影協力NGということもよくあります。 一方、近年ではInstagramの影響力が大きくなりました。自らの飲食のついでに撮影を終わらせるインスタグラマーの発信に比べれば、圧倒的にコスパが悪いのでしょう」
(画像:「きのう何食べた? season2」テレビ東京公式HPより)

画像:「きのう何食べた? season2」テレビ東京公式HPより

昨今の物価高や人手不足も影響しているようです。そういった理由から、実際の店に訪問するスタイルから、おうちごはんや料理人が主役のスタイルが増えてきたのでしょう。

苦境を強いられているお店系。それでも無くならない理由

昨今、制作の過程で問題があれば、SNSなどで露わになってしまう時代にもなりました。より細心の注意や配慮を各所に配り慎重にならなけばいけないことも、減少の要因のひとつになっているのかもしれません。当たり前のことではありますが……。
(画像:「それぞれの孤独のグルメ」テレビ東京公式HPより)

画像:「それぞれの孤独のグルメ」テレビ東京公式HPより

ただ、苦境を強いられているお店訪問スタイルでも、前向きに受け入れてくれるところも少なくないといいます。一番多いのが「番組のファンだから」という嬉しい声だそう。 コロナ禍以降目立つようになったのが「いつ閉店(自分が亡くなっても)してもいいように」と撮影して欲しいという声。 閉店だけでなく、再開発などの理由で移転やリニューアルする前に、後世に残る形で店を記録に残したいというお店関係者が増えていると言います。この理由で、今まで取材拒否だった店の撮影許可がでることもあるのだとか。 「それを聞くと、制作側もなんとかしていい作品にしようとさらに意欲が沸くんです。いい飲食店は食の文化遺産ですからね」 Kさんはそう語り、機会があればまたグルメドラマに携わりたいと意欲を語りました。食欲の秋。お腹が減る秋の夜長は、グルメドラマで過ごすのもよさそうです。 <文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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