円満夫婦の秘訣は「言われたことをどこまでちゃんと聞けるか」

――本作で演じた父親は、家族に向き合わず、意識を完全に仕事へ向けて生きてきた役でした。遠藤さん個人の目には、どう映りましたか?
遠藤:俺の中にも、そういう部分はあるんじゃないかな。良かれと思って突っ走っていると、誰かに迷惑をかけてしまっていることがある。そこはよく女房に注意されるよ。
――仕事を前にすると集中しすぎてしまう?
遠藤:そうだね。だから初のことも、当然全く一緒ではないけど、自分とかけ離れている役というわけではなかったよ。
――ただ遠藤さんの場合は、結婚で一度はお仕事を辞めた配偶者さんが、現在マネージャーを務められていて、公私の境なく二人三脚です。ご結婚して35年だそうですが、個人と個人が一緒に歩いていくうえで気を付けていることはありますか?
遠藤:少なくとも女性のほうが弁が立つし、ケンカしても強いよね。だから言われたことをどこまでちゃんと聞けるかがテーマになってくるんじゃない? あくまでも俺個人の印象としては、関係が離れていくところは、男の人が強くなろうとしているところかなって感じがするな。
――では家族に限らず、人と付き合っていくうえで大切にしていることは。
遠藤:俺は人付き合いはめちゃくちゃ下手だから。集団生活も苦手だし。昔は酒があったから集まりもあったけど、いまは酒も飲まないから友達っていうのもいないし、まだ見つかってないかな。

――そうなんですか?
遠藤:お酒抜きだと人と付き合えない人っていうのは結構多いよ。だからいま繋がっているのは、仕事の現場、“仕事”で、だよね。ということは、現場が終わればおしまい。もちろん女房とは旅行に行ったり、いろいろ一緒にしたりするけど。酒以外での友達を考えると、現場の仕事でいいかなって感じになっちゃう。とはいえ、現場でも基本、人付き合いは上手じゃないから、相当なエネルギーを使っているんだけどね。
――役者さんや芸能界の方にお話を伺うと、「人付き合いは苦手、人見知り」と言う方が多い気がします。
遠藤:そうかもね。みなさん、仕事で集中できればね。でも若い俳優ですごい人を見たこともあるよ。人付き合いがめちゃくちゃ上手というか。俺の100倍はすごい。ただ俺から見ると生きづらいんじゃないかとも感じたけどね。