フリーとしてキー局へ。順調なスタートにも「毎日がオーディション」
――その後、BSデジタル放送開始を機に新番組キャスターのオファーを受けてフリーとなり、報道番組『ニュースの森』などに携わりました。
中澤:以前は、自分で現場に足を運んだり撮影に携わった映像も届けていたけれど、キー局では本当にたくさんの人の手を経て出来上がった情報や映像がアナウンサーのもとに来ます。スタッフのお顔も全部はわからない。なおさら失敗できないという緊張感がありました。朝と夕方の番組を担当していたので、本当に忙しい時期でした。とにかく懸命にやるしかなかったですね。
――フリーならではのプレッシャーもありましたか?
中澤:局のアナウンサーさんたちは “身内”ですが、私は違います。当時、局アナの方にこう言われた記憶があります。「上司が、“中澤さんは出勤の時からいつもちゃんとした格好で、ヒールを履いてお化粧もしてきている”って」「私はリラックスしすぎてるから見習うようにって、言われちゃった」と。
その方はホームなのでそれでいいんです。でも私が同じように局入りするわけには…。少なくともまずは空気を少し明るく華やかにしたり、何かしらの存在意義を示さなければいけない気がして。フリーにとっては日々がオーディション。そんな気持ちは、長い間持ち続けてきたように思います。
――長年愛され続ける『日曜天国』ですが、中澤さんの笑い声、“聞く力”も番組の魅力として、厚い支持を得ています。
中澤:最初のころは、自分が番組の役に立っているのか心もとなく、「いる意味があるのかな」と悩んだりしました。肩を落として帰ったことも数え切れないほどありますし、気持ちを切り替えられない時期も長かった。「もっと押し出しの強い自分であるべき」「はっきり主張しなきゃ」と思い込んでいたこともあって。
でも、トライ&エラーを重ねるうちに、自分の笑い声で面白さを増幅できたり、とっさの一言が内容理解の助けになったり、誰かの言葉がこぼれ落ちないようにすることが自分に向いていると分かってきました。
――あの笑い声は意識的に出している面もあるのでしょうか。
中澤:出ちゃっている感じかな(笑)。でもそれを、敢えてどんどん出していこうと思うようになりました。少しうるさいかなと思っても、早め多めに出すことで、誘導される面白さがあるといいなと思っています。
悩み過ぎてしまう自分から徐々に変化していったのは、子どもができてから。いつまでもぐるぐる考えてもいられずに、強制的に現実に引っ張り出されることがよかったかもしれないです。
――私生活の忙しさが逆に仕事にプラスに働いたのでしょうか?
中澤:違うことをしているうちに、オンエアや自分の受け答えがどうだったか、客観的に見えたりするということはよくありますね。