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セックスは、孤独を引き受けて生きていくためのツールです【湯山玲子×森林原人】

自分の中に好き嫌いのモノサシを持て

森林:湯山さんのように、世間の空気に流されずに自主・自立して生きていくには、どうすればいいと思います? 湯山:自分と対象物との間の距離を常に測って、世界に自分の地図を描いていくというのかな。わかりやすく言えば、こういう服が好き、こういう寿司が好き、こういうクラシックが好き、こういう男が好き……という風に、すべての物事に好き嫌いを持つことが大事だと思う。 森林:自分の中にモノサシを持つってことですかね? 湯山玲子さんと森林原人さん_4湯山:そうそう。自分のモノサシで、いちいち対象物との距離を測るわけ。着る服ひとつ取っても、なぜ私はこれを着るのかという理由を自分に問うてみる。別に「●●ちゃんが着てたから」でもいいんだよ。その代わり、「なぜ●●ちゃんが着るものはいつもかっこいい/かわいいのか」を考えるの。  それを思考することが、その人の個性であり、その人の人生になるから。まあ、面倒くさいですよ。しかし、それも何十年とそれをやっていると普通になる。 森林:確かに自分の中にぶれない芯がある人は魅力的ですよね。ちなみにそのモノサシは、どうやって育てればいいんでしょう? 湯山:自分の欲望を因数分解していくと、悲しいかな、ほとんどが資本主義の中で叶えられてしまうんだよね。それはリアリストの自分の限界ですよ。それを理解しながら、他者の欲望、いや、欲望ですらないものを知り、もっと豊かなモノサシを得るには“教養”しかない。  先人たちが作り上げてきた面白いものをたくさん知り、その一つひとつに感想を持つことが、自分の本当にしたいこと、自分の好きなものを知る手がかりになると思う。 湯山玲子さん_2森林:読書が役立ちそうですね。では、教養をたくさん持っているオタクの人たちは、ある種の理想ってことですか? 湯山:いや、ただね、オタクの中には教養を貨幣のように使って、「こんなに知識や情報を持っている俺を褒めてくれ」っていうタイプが多いからやっかいなんですよ。他者から褒められて、よしよしされたいっていう承認欲求をエネルギーにするのは、小学生で卒業してくれよって思う。  世界に自分の地図を描くというのは、世の中にも合わせられるけど、自分の世界にも戻ってこられる人になることだから。
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孤独を引き受けることがセックス復活の希望?
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