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会議室で寝そべりマッサージを要求…。セクハラをバネにした「キャリアウーマン」

社長「お前、マッサージしろ」の一言に、見捨てて去った室長

「ある日、会議室でミーティングが終わり、参加した社員が退席すると社長がテーブルの上で両手を重ねて寝そべって、私に『お前、マッサージしろ』と言ったんです。あまりの出来事に驚いて、室長に『助けてください』と目で合図しました」  日向さんが驚愕したのは、室長の次の一言でした。 「室長は、私の『助けて』という合図に応じるどころか、『邪魔者は消えます』と言って出ていったのです。社長は私にマッサージを促すし、どうしようとパニックになったとき、事務の人が会議室に入ってきて『社長、電話です』と。危機一髪のところで、助かりました」 マッサージおやじ 室長も助けてくれないとわかると、社長室に3人でいるのも耐えられなくなった日向さん。そしてその翌日、決定的なことが起こりました。 「社長に会議室に呼び出されると、社長はいきなり抱きしめてキスしようとしました。無我夢中で逃げ出してから、怖くて怖くて、お茶を入れる手も震えてきます。と、すぐに総務室に駆け込んで、人事の人にこのまま辞めさせてくださいとお願いすると、『ごめんなさいね』と謝罪しました。なぜ人事の人が謝るのか。その理由はすぐにわかったのです」

セクハラを含めた労務問題に詳しく

 日向さんの前任者の若い秘書も、社長のセクハラで辞めたそうです。 「でもセクハラ被害に遭った元秘書のお母さんはまだ会社で働いている。娘がセクハラ被害に遭ったのに。会社全体が狂っていると思いました。誰も社長に逆らえないんです」  日向さんはその後、企業に就職することそのものも怖くなり、派遣社員として働きます。偶然にある法律事務所に勤務すると、セクハラを含めた労務問題にも詳しくなります。 「3年後に、アパレル会社に就職し、念願のデザイナーになりました。また労務問題に詳しくなったので、友達の小さな会社の役員も引き受けています」  2年前に、偶然その会社が買収されて、セクハラ社長は業界から消えたことがわかると、やっと安堵できて恐怖感も次第に薄れていったそうです。 ―私達の身近な「セクハラ」 vol.19― <TEXT/夏目かをる イラスト/鈴木詩子>
夏目かをる
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪
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